ある施設を建てるのに補助金をもらおうとしますと、その建物はこういう形でなくてはならないとか、あるいはこういう大きさでなくちゃいけないなど、その地方にとって、必ずしも必要かどうかということではなく、全国画一的な基準に縛られるわけであります。この補助金をどうするか、あるいは補助条件をどうするかが論点となったわけです。結局その地方の自主性を作り出していくためには、地方の自主財源を作りださなければいけないということになります。今申しあげましたように、3分の2と3分の1という乖離がありますので、本当は3分の2を丸々地方税でもって取れるよう、国税から地方税に委譲するのが、私は一番いいと思うのです。ただ、自治体によって、経済力に格差がありますので、単純に税源を委譲いたしますと、いかに工夫してみても、どうにも成り立たない自治体も出てきます。あるいは東京都みたいなところはえらい多額のお金が入ってしまうということになるわけです。このため、この格差を埋めるにはどうしても地方交付税のような財政調整制度が必要になるわけです。
ただ、この地方交付税のあり方については、もっと明解でわかりやすく、公正なものにしていかなくてはならないだろうと思います。
それから地方自治体側の問題がございます。いわゆる受け皿問題でございますが、自治体の行政体制の整備をどのようにしていくかということでございます。行政改革をどう進めていくか、広域行政、合併の問題をどう考えていくか、地方議会のあり方、住民との関係をどうしていくか、住民投票をどう活かしていくのかなど、いろんな問題が控えており、我々はそういう問題について、政府が計画を作るための具体的指針を作らなくちゃいけないということになったわけでございます。
我々の任期は5年あります。といいますか、法律の期限が5年間でございますので、この期限の中でまず我々は勧告を出し、次に勧告に基づいて政府が計画を作ります。先ほど知事さんがおっしゃった、今日の閣議決定でございますが、これは総理大臣は分権委員会から勧告を受けたら、尊重しないといけないということが法律に書いてあるのです。それを閣議でもって、最大限尊重するということを確認しておられるわけです。さらに勧告に基づいて、来年の通常国会が終了するまでの間のなるべく早い時期にこの地方分権推進計画を作るということも、総理大臣が約束をしているわけでございます。