それが戦後になって、民選の知事さんになりましたが、民選の知事さんだとどういう人が出てくるかわからないということで、中央の省庁は民選で出てこられた知事さんを中央省庁の下請け機関と見なして、その機関に事務を委任するということにしたわけです。結果としては、知事さんの仕事の7、8割をこの機関委任事務が占め、したがって中央省庁が最終的な責任と権限を持つために知事さんを指揮監督するということにしてしまったわけでございます。これは戦後50年も続いているわけでございますが、地方自治だとか、選挙だとかいいながら、知事さんのほとんど大部分の仕事を中央が指揮命令しているということになり、極めておかしな形になっているわけでございます。これをどうするのかということが、第一の問題でございます。
また、国の関与と呼んでおりますが、地方の行政に対して、国がいろいろと口出しをして命令をしております。この関与をどうするかということや、あるいは必置規制をどうするのかという問題がございます。必置規制というのは、国が例えば保健所を作りなさい、福祉事務所を作りなさいなどと、行政組織等の設置を義務づけているものでありまして、さらに、そこに何人の職員を置きなさいとか、そこの所長はこういう資格を持った人でなければいけないというようなことを、いちいち細かく規定しているというようなものまでございます。地方自治体で働いておられる職員の6割か7割が、あるいはもっと多いかもしれませんが、必置規制で決められているわけです。ですから地方のほうでいくら行政改革をやろうと思っても、国で決められた人数を減らすわけにはいかないし、国で決められた以上、二つの組織を一つにしてしまうことや所長を一人にすることができないなどいろんな不都合がでております。ですからよく中央で、地方の行革が進んでいないといわれるのですが、その責任の大半は必置規制にあるということもいえるわけです。
それから補助金制度をどうするのかという問題がございます。現在、国、地方を通じた歳出額の内、地方が使っているのは3分の2ですが、税収の面では、地方税は国全体の税収の3分の1しかなく、そのギャップは、補助金や地方交付税で埋められているわけです。しかし、この補助金にはいろんな条件がついています。