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つまり、市民が参加ができるようにしておくということなんですが、参加をするレベルは私は三つあると思っています。一つは政策決定のプロセスへの参加です。たとえば、高齢者保健福祉計画策定の際、市民参加の項目が入っていましたけれど、政策決定過程に参加をすることです。二つはサービス利用への参加です。サービスを利用する時に、一方的に受けるのではなくて、自分の意見を言いながら提供者と共同でいいサービスをつくっていくという参加です。三つ目は、市民が担えるようにしていくことです。これらの参加の基本には情報公開が必要です。そういう制度や参加の仕組みをつくった上で自治体間の違いがでてくるのは、それは個性であって、不当な格差ではないだろうと思っていますので、そのことをあまり考えないで格差は個性というふうには言ってほしくないなと思います。

NPOですが、私は、NPOは市民が担い手として参加をしていくには、とても有効だと思います。ノン・プロフィット・オーガナイーゼイション(非営利団体)の法的な位置づけが必要だろうと思っています。今、衆議院を通過して、参議院で継続審議になっていると思いますけれども、非常に不備が多くて、こんなものならやめてしまえという主張と、できたら変えていけばいいじゃないかという論があります。詳しいことは避けますが、日経新聞によれば、アメリカにはこういう非営利の団体、つまり行政でもなく企業でもなくて地域に必要な仕事を自分たちで担っていく団体に属している人が1,500万人で、総支出、国内総生産の8%であるというふうに言われていますから、かなりの規模になっています。日本も高齢社会が進むと、どういう働き方を選ぶかが問われます。現在すでにNPOで仕事をつくりだしている高齢者もいます。特に高齢者、女性の中でこの働き方が出てきています。ただ、それにしても環境が整っていないのでNPO法案が必要なわけです。しかし、多くの人がアメリカに行き、NPOについて調査し、法案に期待しましたが、期待はまだ裏切られています。アメリカでみんなが聞いてくるのは、登録が非常に簡単なことです。州に登録をします。それから連邦で免税の団体という資格が得られることですNPOに寄付をすれば、寄付した方が免税になるというわけです。郵便料金が大幅に割引になることも聞いてきます。そういう特典を持った中ですから団体の営利活動は限られています。

地域に必要な仕事を地域の人が担っていくという方法が、発展したほうが、地域のつながりをつくることに役立つのではないかなと思っていますので、自治体と市民がパートナーとしてNPOを活用し、分権自治をすすめていくことに期待しています。また、地方分権が進めば違いが起こるので、望まない違い、格差にならないように市民の活動環境をつくっていくことが自治体に求められていると思います。

 

篠崎

はい、ありがとうございました。分権の受け皿、能力論のところに、またちょっと話を戻したいんですけれども、先日といいますか1カ月ほど前にですね、主要政党のシンポジウムをやりました。

 

 

 

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