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職員の意識や発想が、国の補助金を獲得すること、交付税を多く取るということ、あるいは仕組みとして既にスタイルができあがっているものを無難にこなせば、それなりに仕事をしたという意識につながりはしないかと、そのあたりを非常に恐れております。必ずしも国のつくる制度というものが万全なものばかりとは限りませんので、地方の本当の実情に根ざしていない、現実からかけはなれている補助金などがかなりあるわけです。補助金をもらって施設を造ったけれども、それが実際に使われていないというものが現実にあるわけです。やはりそういう点でも、財源の使途について現地のわれわれに決定権限があれば、それなりの責任を持って考えることになり、良い発想も生まれてくるとともに、真に地方に必要なものが造られることにつながるだろうと思います。

財源の問題については今、限りある財源の中での事業の重点化とか効率化とか言われています。例えばの話ですが、鉄道と道路というのは両者は性格的に補完関係にあるわけですが、財源的に限定された中で地域としてどちらを選択するのかということは、やはり地域が決めるべきことだと思います。各省庁の今の縦割の体制の中で、省庁ごとに補助金の予算の枠があり、それぞれの省庁の職員が地域、地域につけていくというやり方が、その地域にとって本当に必要な公共施設の選択の幅をせばめて、しかも毎年予算が少しずつしかつかないから完成年度がずっと先になって、いつまで経ってもでき上がらないということになっているわけです。結局、それぞれに不満が残っていくということにつながっているのだと思います。

またもう一つは、国の予算執行におけるお金の流れの全体的な関係がよく見えないがゆえに、無いものねだりじゃないですけど、自治体・住民は過大な期待を国の方に寄せてしまって、国の方でどこからかお金をひねりだしてくるだろうということで、陳情合戦みたいなことにつながっているわけです。それが全体の予算、財源の制約がある中で、実際に当地域に使われる資金との関係がよく見えてくれば、何が本当に必要な施設かという真摯な議論も地域で行われるのではないかと、そんな気がしております。

税財源の問題について一番大切なことは、やはり地方として責任ある判断をするということに尽きるだろうと思います。そのことをしっかりと実現させるためにも、地方が自由にできる税財源を充実させることが前提です。国全体の財源が限られた中であっても、最後は地方に選択を委ねたうえでその中で一番合理的な道を選ぶようにすべきだろうと思います。そういった面について、分権委員会の勧告でもっと切り込んでほしかったという気がしております。それから、先ほど言ったように補助金や交付金の金の流れについてですが、今般の省庁再編案の中で統合するものも考えているようですが、省庁によって分かれているものが、例えば、交通関係で一体化するということになると、少しは良くなるのではないかなと思います。これも淡い期待かどうかよく分かりませんけれども、そういうように少しでもお金の流れを整理するような形にしてもらうとありがたいと、こんな気がしております。

 

 

 

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