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そういうものをしっかり、住民の方々が見て、積極的な行動なり、新たなアクションを起こしてほしいが、そういう状況にはまだまだならない、なれないという段階ではないかと思います。私は、よく県や市町村の役所に取材で訪れますが、計画が進まない時、県の人は「国がどうのこうの」と、市町村の方では「県がどうのこうの」という話が必ず出てきます。そういう部分を早く解消する意味では財源問題と機関委任事務の廃止は、とにかく早くできることから取り組んでいただきたいと思います。官選時代ならともかく、戦後は、私たちが直接選んだ知事さんであり、首長さんであります。私たちは国の出先機関の長を選挙で選んだ訳ではありません。こうした実態は、早く解消すべきであろうと思います。私たちがせっかく知事さんなり、首長さんを選んでも、その力量が十分に住民に反映されないということは残念なことであると思います。最近の例としては、東和町の自主減反問題がありました。いろいろな問題が絡む中で断念とはなりましたが、農業の地方分権というものも今後真剣に考えていかなければならないでしょう。いずれにしろ県民、住民、知事さん、首長さんの力量手腕がストレートに伝わるぞというようなことになれば、選挙も100%の投票率になるのではないかという思いもするわけであります。従って、機関委任事務は極力、あるいは最小限に絞り、可能な限り自治体に任せなさいという思いを県民の一人として考えているところであります。

 

篠崎

分かりました。議論はつきませんけど、この後、地方財源の問題についてもお話を進めていきたいと思っています。今、税収の方については、国と地方自治体の間は国が2で地方自治体が1という割合になっています。その一方で歳出を見てみると地方自治体が2で国が1という形の、いびつな関係が続いています。この問題について今度の勧告の中ではですね、特に地方税の充実確保ということについては中長期的な課題というふうに位置づけられています。これについては大事な問題ですけど、お二方について発言をお願いしたいというふうに思います。増田知事、先ほどの中原さんの指摘も含めて、この問題についてお話を願いたいと思います。

 

知事

委員会の勧告の中で一番がっかりしているのは、税財源のところへの踏み込みが足りないということです。やはり、この問題は地方分権の本質的な部分に非常に深く関係しておりますので、もっと切り込んでもらいたかったというのが率直な思いです。今、岩手県全体で8,764億という予算を組んでいますが、3割自治と言われているとおり、だいたい7割ぐらいは国から補助金・交付金、あるいは地方交付税と、いろいろな形で、使途もかなり限定されたような形でヒモつきでくることが多いわけです。そのため、実際にやれることがかなり制約を受けてしまうということと同時に、私が一番問題だと思うのは、例えば、県庁で見てみても、職員の発想、新しいことに取り組む意欲を阻害しているのではないかということです。

 

 

 

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