このような各地それぞれのまちづくりについては、霞ヶ関からでは距離が離れていてものがよく見えないし、ましてや、そこですべて決めることなどあってはならないと思います。
こうした都市計画をはじめとする土地利用やまちづくりに関する機関委任事務が、自治事務に切り替わり、そして実際に地域で暮らしている方々の意志がまちづくりに反映されることによって、その地域に長年兼ね備わってきている歴史と伝統が、そのまちの「個性」となって表れて出てくるのだと思います。そして、住民自らが道を選ぶということですから、それが例えば失敗したとしてもその責任は結局それを選んだ人たちにかかってくるということ、すなわち自己決定、自己責任が徹底すれば、ある意味では今までより真剣な議論がなされることになるのではないかと思います。つまり、住民側の意識の変化をもたらすということです。ですから、こうした関係の事務の運営については、当然、典型的な自治事務として私ども地方自治体が進めていくものであります。
このように、機関委任事務の廃止により、地方行政を運営するわれわれ県・市町村にとっても、一人ひとりの住民にとっても、自分たちの責任は重くなるし、また、まちづくりのノウハウなどというのは一朝一夕にして備わるものではなく大変なことではありますが、時間の経過とともに、必ず最後には私たち自身に良い効果として現れてくると考えております。
篠崎
はい、ありがとうございました。この機関委任事務の廃止の問題については、先ほど小早川先生の方からお話ありましたように、本来、基礎自治体といいますか、市町村の役割というものが大きくなるのは当然だというふうに思うんですけどね。このあたりについて小笠原さん、市町村と県との関係について、どのようにお考えでしょうか。
小笠原
はい、今、知事さんからお話いただいたのとほとんど同じような考え方をしているんですけれども、対住民という面でいきますと、やはり私たちは今まで時には国の立場に立って、時には県の立場に立って、住民と接して言い訳をしてきたという思いがしております。従って、責任をきちんと分かち合えるようになる。まさに自ら自分たちの地域づくりを決定していかなければならない、というふうに思うわけです。本当に職員もプロにならなければなりませんし、私たちも一生懸命努力をしなければならない。まさに住民の方々から選ばれた私、並びに議会というものの重みが増してくるというふうに思っております。それから県との関係で言いますと、やはり県もわれわれからしますと常に上位にあったわけでありますから、それが対等協力関係に変わっていくということは大変な変化だと思うんですね。そういった意味で、知事さんは常に市町村はパートナーだということをお話をいただいておりますけれども、やはりパートナーということはお互いに責任を持った意見を言うということになると思っております。