日本財団 図書館


篠崎

はい、ありがとうございました。機関委任事務の振り分け、廃止に伴う振り分けについては中央省庁側の了解、同意を得ているということですね。増田知事、先ほど小早川先生が話された内容から言えば、増田知事は本籍地から現住所へ移すべきだと言っておられますね。この機関委任事務の廃止というものが、今後の自治体行政にどういうふうに影響するのか、そのあたりをお願いします。

035-1.gif

知事

はい。本籍地から現住所に移すということですが、以前、私がおりました建設省の中の事務でいいますと、典型的な機関委任事務の一つとして都市計画の事務が上げられると思います。土地利用やまちづくり関係の機関委任事務は、ご承知のとおりたくさんあるわけで、事務の性質によってはいろいろ議論もあると思いますが、土地利用だとかまちづくりの事務はほとんどが、私たちの日常生活に大変関係するものであり、委員会の勧告の中で、こうしたものについて市町村で決定できる範囲が広がる方向性が出てきたのは大変良いことだろうと評価しています。

これまでの都市計画決定の進め方では、駅前整備にしても、区画整理あるいは再開発の進め方などについても、まず、建設省からの指導があるわけです。それは規定された施設がきちんと配置されているのか、所要の面積が取られているかとか、街路、公園施設の計画など全般にわたって、全国の地方自治体すべてについてごく一部の担当職員で判断するという体制が長い間とられてきました。そして、その結果として各地域のまちの匂いというか、雰囲気、個性というものが失われてしまったのです。必要な施設の配置とか面積がどうなっているのかなどといった点にだけ重点が置かれてきたからです。例えば、商店街一つをとってみても、きちんと区画を区切り、必要な広幅員の街路幅をとって整然とした市街地造りを選択する道のほかに、むしろ雑然とした肩と肩とが触れ合う中で、人間くさい商店街としての賑わいを出していくという街造りを選択する道もあると思うのです。これは結局は、そこにいる人たちがどちらの道を選ぶか、ということに尽きるわけです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION