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そうした活動があり世の中が成り立っていて、そこにようやく光が当たってきたと思います。私たちも必要性に迫られて9月1日から週土曜日だけのデイサービスを毎日型に切り替えることにしました。そうしますと、また借金が増えまして、このままいくと年間150万は借金するだろうと思います。それをどうやって集めるかということと、行政の政策にどうやって乗せてもらうかということを考えながら活動しているところです。

全国にこうしたいろいろな支え合いの活動があります。高齢社会は市民が関心を持ち、担わなければ乗り切れないという問題意識で、分権という課題を見ていきたいと思います。そういう市民の力を引き出すことに分権は本当に役に立つのか、あるいは役に立たせるにはどうするかということです。島森さんの言葉をお借りすると、素人が地方分権を自分のものにしないと分権は成り立たないと思いますので、それをどうしたら実現できるのかということに関心を持っているわけです。第二次勧告を見ますと、第6章が地方公共団体の行政体制の整備確立です。その中に住民参加の拡大と多様化とか、公正の確保と透明性の向上について書かれています。機関委任事務の廃止等々、制度が変わるということと、それを生かす市民がどのようにつくられるのか、あるいは考えあったり支えあったりという人の体質がどういうふうにつくられるか、ということについて今日は考えていきたいと思っています。

 

篠崎

はい、ありがとうございました。住民参加、市民参加というのは地方分権にとって極めて重要なキーワードになってくるんだろうと思います。また、これについては後ほどお伺いいたします。それでは、増田知事お願いいたします。

 

知事

島森さんの基調講演をお聴きしながら考えていたんですが、地方分権にもいろいろな見方や要素があると思いますけれども、つきつめれば、全国的な統一性とか画一性ということのちょうど対極にあるものではないかと思います。それを一人ひとりの個人ということで考えてみますと、やはり島森さんも話していましたが、自分の考え方のモノサシ・尺度をしっかりと持てるかどうかということに、行きついてくるのではないかという気がしております。例えば、この岩手県を考える際にもいろいろな要素がありますが、例えば、県民所得に価値をおくということであれば、岩手の人口ー人当たりの県民所得は全国平均を100とすると82ぐらいの水準ですので、その数字を見るかぎりまだまだ経済的には大変不自由しているということになります。しかし、私もこちらで本格的に生活するようになって改めて考えてみると、そういった82という数年に入っていない要素があるわけです。1日が24時間しかないということは日本全国、世界中どこでも全く同じで、限られた時間であるわけですが、その中で例えばどれだけ通勤時間に費やしてきたのかということを考えると、こちらでは、東京などと比べてはるかに時間的なゆとりを持つことが可能になります。

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