地方分権の推進にはまだいろいろな抵抗があるだろうとは思います。理想が高ければ高いほど、さまざまな摩擦が起きてくることは、これまでの歴史の中でいろいろ示してくれていることであります。そういう意味で分権委員会には、分権をやるという初志を忘れないで大胆な勧告を出していってほしいと思っています。基本的には住民に身近な問題は地方の自治体が担うべきだと思います。そういう意味で分権の引っ張り役というんでしょうか、実現ヘー番汗をかいてほしいのは地方自治体ではないか、地方の人たちではないかという思いを強くしております。「地方よ元気を出せ」と言われた山形村の小笠原さんがそういうふうに受け止めていることは非常に心強い思いであります。
篠崎
はい、ありがとうございました。それから、堀越さんにはこれまで住民運動あるいは市民団体というような形で実践的にも取り組まれておられます。そういった立場からお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
堀越
日本女子大学は小人数教育をしておりまして大きい教室があまりないものですから、今日は上がっていますと言いながら、ちょっと宣伝をさせていただきました。私は今自分の時間を三つに分けて使っています。一つはもちろん仕事で、私の仕事のメインのテーマは生活の豊かさをつくるにはどうしたらいいかということです。とくに社会的生活基盤、教育や医療や福祉や水や緑に注目し、そういうものが豊かになれば、自分の小さい財布にしがみついていなくても、もっと安心してラクに暮らせるんじゃないか、それを市民参加でどうつくればよいかということをテーマにしています。それから二つ目は、個人的な暮らしがあります。
三つ目は、先ほどご紹介いただきましたけれども、生活介護ネットワークという団体に地元で属していまして、丸5年経ったところです。いろいろいきさつがありましたが、ここ1年半ほどは痴呆のお年寄り、いわゆるボケ老人のミニデイサービスが活動の中心になっています。全くの任意団体で、当事者のお年寄りと家族と私たちで一緒にやっています。たまたま家を貸してくださった方がいらしたので、トイレを改造したりして使っています。そのために、借金抱えながらやっています。5年間無利子ということでたくさんのお友達や知人から200万円ぐらい借りて、5年目に返さなければいけないので、イベントをしたりしまして毎年40万円貯めています。それをなぜ始めたかというと、一つは自分の問題としまして年をとっても障害を持っても住み慣れた地域で顔なじみの人と自分らしい時間の過ごし方をしたいと思ったからです。何十年も働いたらそのくらいしてもいいんじゃないかというふうに考え、自分の町を見たらばとてもその条件はなく、これは危ないということになりまして、支えあえる地域をつくりたいと、集まってそんなことを始めたわけです。今日は、そういう時間の使い方をしている人間がしゃべるということで聞いていただければ幸いです。