そういうこともあって、特集をやってみたんですが、沖縄で、非常に積極的な意味があったと思われるのは、基地問題の時やった県民投票ですね。その後、地元の人たちもいろいろ複雑な反応があるようですけれども、どちらにしても、自分たちのことを自分たちで決めなければいけないと自覚した、ということは、本当にこれはスタート地点だと思うんです。それは巻町の原発をめぐる町民投票なども同じです。基地とか原発とかは大変大きな問題で、もちろん大切なんですけれども、そういう大きな問題じゃなくても、普段のちょっとしたことでも自分たちで決めていくんだという意識の高まりが重要だと思います。そういう意識を持てたという意味で、沖縄のあの県民投票というのは大変意味があったと思います。そうした自覚をそれぞれの地域々々がどれだけ持てるか。資金財源の面、あるいは自分たちで物事をどうやって決めていくかという時に、本当に一つひとつ自分たちの問題だという意識を明確に持つという、発想の転換みたいなことが求められている。しかし、私たちは何十年と、ずっと甘えの構造に慣らされてきていましたので、それはそんなに簡単じゃないという気がするんです。明治に廃藩置県というのがありましたが、もしかすると、今は廃県置藩じゃありませんけれども、何かそうした発想が一方で必要になってきている時代じゃないかという気がするんです。ある程度、産業も独立したものを持って、そこで一つひとつが自立できるかどうかということが、地方分権に関わってくると思います。
自立のためのオリジナルな方法
それから次に、三つ目の方法論。自分自身のオリジナルな方法を持っているかどうかということですね。これは、いろいろな点でこれからだろうと思いますね。もちろんそれぞれの地域々々によって、大変がんばっていらっしゃるところ、うまくやっていらっしゃるところ、全然どうしようもないところ、いろいろあると思うんです。例えば、私は広告を仕事として見ておりますので、広告の話を例にとりますと、3、4年ぐらい前だと思うんですが、自治省が肝いりで、各県が新聞を使って全15段、 1ページ大の広告を出されたキャンペーンがありました。1年か2年集中的に続いて、いまもポツポツとやっているようですね。なかで、岩手は大変上手だった。全然やらなかったところが何県かあって40都道府県ぐらいが出したと思いますが、その中のベスト5に入ったと記憶しています。ま、それは私が勝手に入れたんですけど。でも、周りの評判も良かったんです。