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に言っていいでしょう。

そこで、前田先生、さっきから気にしていらっしゃる、観光客が来てごみを散らかすというのと、それから住民が場合によるとごみを捨てるということですね。私が相当ショックだったのは、白神山地の津軽地方の岩木川の、もう白神山地に近い最終の集落の橋の上からおばあさんがごみをドドーンと川に捨てているんです。私は、たまたま2回、その人に出くわしているんです。ということは、おばあさんにとって、そういうごみを捨てることは決して悪いことではないという習慣――さっき西口知事が、頭の固い年寄りのボス猿の話をしていらっしゃいましたけれども、ただし、おばあさんの感覚の中に、それは腐るものだというのがあったんだろうと思うんです。ところが、今はおばあさんの感覚を超えて、腐るものも腐らないものも一緒におばあさんは捨ててしまっている。それを白神のほとんどもう最終の集落のところでたまたま2回出くわしたということは非常に恐ろしいなと思ったことがあります。

ですから、観光客はもちろんですけれども、住んでいる人たちがその意識を持たなければならないなということで、最後に先ほどのスライドを入れましたのは、イギリスにはカントリーコードという、いわゆる町の人というか、そういう人たちが田園地帯を歩くときの1つのルールがあります。その中でカントリーコードを守ろうとなっておりまして、カントリーコードは田園地域とその利用に関する数多くの提案があります。第1が、ごみを残さず持ち帰ろう。田園地帯にはごみ箱は十分に設置されていませんが、「持ってきた紙くず、プラスチック、つえ、包装紙、たばこの箱、空き缶、瓶などを自宅や、もっとごみ処理サービスの行き届いた場所に持ち帰ることが容易にできるはずです」というのがカントリーコードですね。ほかにも、「山火事から守ろう」とか「羊のゲートを必ず締めよ」とか、いろいろあります。

それからフランスの方ですけれども、これは地域自然公園という、国定公園と県立公園の中間ぐらいの公園です。その中に住民憲章というのがあって、「公園は約束します」ということで、「公園は」という主語があるんです。それから、「町村は約束します」ということで、どういうことを約束するかといろいろ書いてあります。それから、「皆さん、私たち住民も約束します。その住民は、廃物だとか家庭ごみ、要らなくなったものなどは道のわきや川に捨てません。また、土地の中にも捨てません」というようなことを、廃棄物と水と景観、動植物、観光という5つの項目について、それぞれ長く宣言をしているんですね。きっと、きょうのネイチャーフレンドシップ宣言というのも、そういうところに至る話だと思います。

さっきサブローさんがおっしゃったのは、ビニールを亀が食べてという生態系の1つの影響ですね。見た目以上にいろいろなところで、私たちのしていることが他の生物に迷惑をかけているんじゃないかというようなことがあります。前田先生は、野鳥の会の会員でもでもいらっしゃるので、鳥なり、ほかの陸上の生物を泣かしているんじゃないかという話をちょっとしていただけませんか。

前田 1つは、私の知っている、あるいは私のテリトリーの範囲内でよく巣をつくる鳥のうちの特にモズ、ヒヨドリ、メジロ、これは見境なく、人間の捨てたごみを巣に使います。特にメジロは、ポリプロピレンの細くなったものを使います。これは危ないです。なぜか、同じような環境にすんでいるのに、ホオジロとかウグイスは天然のものだけしか使いません。カワガラスは天然のものだけしか使わないと思っていたんですけれども、この間、テレビを見ており

 

 

 

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