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なっているんです。正直な話。もう何か、今はごみを拾いに潜っているような状態です。ここにはこんな珍しいごみがあったなと(笑)。こんなところまで人間が来てごみを捨てているのかと。だから、すごい悲しい思いになりましたね。

ことしの1月にモルジブへ行ってきました。文化のあるところから2,000キロほど離れているところですが、ここは大丈夫だろうと潜ったら、海の底に日本のポテトチップスの袋が落ちていました。ここまで捨てに来ているんですよ。拾って海から上がってきて、ここは最後の楽園やろなと思っていたら、日本の近くの国の人が来ていました、その人たちがお菓子を頬張っていて、きれいな海だなと眺めていて風がピューッと吹いてきたら、その袋をそのまま手放すんです。ヒラヒラッと海に落ちて流れていっています。僕は、網を持ってきて拾いに行ったのですが、届かなかったからすぐ海水パンツになって、自分で泳いでそのごみを拾いに行ったんです。というのも、これがまた分解されるのに200年かかると思ったら、許せなかったんですね。

僕は、たばこをやめました。でも、たばこを吸っていた時期、たばこを吸ったら平気で窓からポイしていました。僕1人ぐらいなら大丈夫だろうと思っていました。だけど、1億2,000万人がポイ捨てをしたら、すごい山盛りになります。今、そういう人は許せません。僕は、たばこもやめましたし、海に潜るようになってからはもう一切しなくなりましたが。自分1人ぐらいがという気持ちですね。海の中でもそうですね。海に、この袋、この缶、1つぐらいなら、本当に大したことないと思います。だけど、海に出ている人が皆そういう気持ちで捨てれば、すぐ海は埋まっちゃいます。そんなぐらいの規模で地球の汚染というのは進んでいっていると思いますね。

僕は28から潜り始めたのですが、今41歳です。だけど、今になって気がついたらもう遅いんです。今、僕らが第一線で動ける間じゅうにこの環境問題とかを片づけることは、僕自身の中では多分不可能だなと思います。僕の子供は、今10歳と9歳がいます。この子供たちにこの大切さを植えつけないことには、地球を守れなくなると思います。今先生がおっしゃったように、水で戦争が起こり、そしてもっと言えば、平均気温が2度上がるだけで弱い方がかなり亡くなられると思います。

そんなことを今から我々が叫んでいくのではなくて、教育の中に入れるべきやと思います。ですから、僕は週2時間、道徳の時間の中に、文部省なり環境庁の偉い人が派遣されて、各学校で週2時間、その時間を絶対取り入れるべきだと思います。でないと、我々が生きていけなくなると思います。

まだまだ頭の中に言いたいこともたくさんあるのですが、うまく言えないので。

僕が子供に一番怒ることは、うそをつくこととごみを捨てることです。物すごく子供に怒ります。お父さん、何でそんなに怖いのって言うので、おまえが1個捨てるようにみんなが捨ててみい、学校に350人いたらみんなこの紙切れを捨てたらどれだけの量になる、それが1年たったらどれだけの量になると言って、僕は怒ります。それ以外は、自分は人のことを怒れる身分じゃございませんので、偉そうに怒れないのですが。勉強もできませんでしたし。ただ、人間として生きていく上での基本的なマナーの部分で、できないやつは、東大を出たり京大を出た偉い先生がたくさんいらっしゃいます。だけど、もっと基本的なことができなければ、通産省とか何とか省へ入られて、事務次官になられて、エリートでずっと来た人でも、人間の最も恥ずべきところの教育がなされなかったから、いろんなところで、いろんなお金をもらってずるい

 

 

 

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