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いというか、きちっとしたお話もできるわけではないのですが、先ほどご紹介していただいたみたいに、私もスキューバダイビングと言って海の中へエアタンクをしょって潜るのを趣味にやり始めて13年でございます。

 

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太平サブロー氏

吉本興業所属。1956年大阪府生まれ。テレビ司会、漫才、スキューバーダイビングなど幅広い活動・趣味で知られるタレント。現在 読売テレビ「あさパラ!」をはじめ数々の番組にレギュラー出演している。和歌山でのスキューバーダイビングを通じて自然の素晴らしさ、大切さを語る。アウトドアーのマナー向上に対するユニークな提言を行う。

 

それまでは、漫才ブームというのがありましたから、芸人で仕事をあたふたやっておりまして、毎日、たばこも吸い、夜更かしし、酒を飲み、平均睡眠4時間という、本当に不健康なことをしながら暮らしていたわけです。そのときに、ふとある雑誌で写真を見ていましたらダイビング、海の中の世界がちらっと見えました。そのときに、一遍潜りたいなという気持ちになりまして、サイパンへ行きました。きれいなところでした。

まず、本当に魚がいっぱいいますし、透明度なんか、60メートル、70メートル底まで透けて見えるというきれいな海でした。でも、そのときはさほど別に環境やとか──海がきれいだな、美しいな、この景色はいいな、そういうストレス発散の部分だけでやっていたんですね。ところが、潜っているうちにライセンスを取って、そういう仲間がふえてきて、そういう人たちと交流を深めていくうちにグアム、沖縄、もちろん和歌山の串本も潜りました。遠くは、インドの先のモルジブの方まで行きました。

そういうふうなところで潜っているうちに、何と海の底に人間がつくったごみの多いことかなと思いまして、ずっと見ていますと、ビニール袋、特にコンビニなんかでいただく白い袋なんかは海の生物たちにとって物すごく恐ろしいものなんですね。海亀があれをクラゲと間違って食べてしまうんですね。そうすると、亀は万年なんて言うて強い動物やと思われますが、あのビニール袋1つで海亀が窒息死するんです。だから、万年生きると言われている亀が15分で死んでしまうんです。それぐらい、人間がつくり出して、何げなくぽっと手放したものが風に吹かれて、海へ捨てる気がない人でも、手放したときにごみ箱から風で飛んで海へはまって流れていくと、回り回ってそういうところへ行く。

また、海の底へ潜っていると、赤いコカコーラの缶が目につくんですね。あれを拾い上げてみると、年数がもう10年以上たったようなアルミ缶、藻がひっついているんですけれども、めくってみるとさびていないんです。ということは、一切分解されないんです。そういったものがやたらいっぱい落ちているんです。このコンビニの袋は化学製品ですけれども、自然に分解されるのには200年かかるんです。

 

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我々1人の人間ですけれども、僕のちょっとしたことで、この目につく2つのものを拾えればと思って潜り始めたら、いつの間にか海の自然の景色、サンゴ礁を見たりすることが少なく

 

 

 

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