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です。夏になると、キャンプに来られる人も多い。今、また特にアウトドアスポーツも盛んだから大勢来られる。何で悲鳴を上げているのかなと思ったら、帰られた後が大変なんだということです。

それはなぜかというと、1つは珍しい草や木をどんどん持って帰ってしまわれるし、アユなんか釣りに来て、アユだけ釣ってほかのものは要らないからと言って殺してポイ捨てで帰っているといった話が出てまいりました。特にあの辺には、シュンランとかヒメユリ、ササユリといった植物があるけれども、それはもう根こそぎ持っていかれる。タラの芽なんかも切ってしまわれる。途中で切り取って帰るのは、また翌年生えてくるからいいとして、根こそぎ取られるともうそこで絶滅をしてしまうということでした。

姉崎 そうですね。今、ササユリというお話がありましたけれども、私が和歌山県に通い始めた当初というのは、山村の至るところでササユリを見ることができましたが、もう最近はほとんどそういう山草で目立つものというのは、まず見かけることがなくなってしまいました。

西口 その青年が言うには、おまけにキャンプなんかやったら、こんろとかカーペットといったものもそのまま捨て去るし、そこへ汚物の後の処理で大変困る、そういうことで悲鳴を上げているんだという訴えがありました。

だから、大いに自然のきれいなところに来てもらってキャンプをしていただくことも大切だけれども、マナーをしっかり守ってもらわないと困るという訴えで、これを何とか知事の口から訴えてもらいたいというようなことで、帰ってから担当部や担当課の皆さんとも相談をして、こういうふうなマナー向上を県内の人はもちろんだけれども、県外から来られる人にも訴えようということになったのです。自然があるからこそ来ていただくんだから、どんどん後も続いて来てくれるような、それから地元に住む人ともうまく親睦が図られるような進め方がぜひ必要だということが、今回、ネイチャーフレンドシップクラブをつくろうということに発展をしてきたわけです。

きょうはここに来られている方々には、どうぞ美里町の青年の訴えが県内全体にも広がると同時に日本国じゅうにも広がって、和歌山のすばらしい自然がいつまでも確保できるようにご協力をいただきたいと思っております。

司会 なるほど、そういうふうにしてこのネイチャーフレンドシップクラブという運動が始まったということですけれども、そういうふうに運動が起きてくるということは、姉崎先生からごらんになっていかがですか。

姉崎 とてもうれしいことです。僕が子供の自然教室にこだわっているというのは、小さい子ほど乗りがいいというか理解が早いというか、大人になるとどうしても自分の生活習慣というのはなかなか変えられないですね。

例えば普通のタオル1つに石けんをつけて体を洗うと案外使わない石けん分というのが多くて、自然教室でお絞りサイズのタオルで体を洗ってみようということでやりましたら、石けんの使用量が大体5分の1くらいに減るんですね。多くても3分の1に減ります。そんなことからでも、何か自然を守るということがつながるんだということがわかれば、家庭から、幼稚園とか保育園といった小さいうちからの運動がもっと展開できると思っています。

司会 なるほどね。小さいうちから自然に。大切なことですよね。

姉崎 自然に親しむということはもっと楽しくてすごくいいことなんだなという感覚を一緒につけてもらえれば、もちろんいいわけですね。

司会 無理してするとか、これはつらいこと

 

 

 

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