人間は、暮らすために周辺の環境をさまざまに変えていきます。これは、人間以外の動物がほとんどなし得ないことなんですが、それによって変わる環境の方はどうなっていくかといいますと、例えば、これはよく道のわきにあるコンクリートの側溝です。これはちょっと深目なんですが、行どまりの側溝の端っこに何か緑色のものがたくさんあるということに気がついて、よく見たらこれが全部アマガエルなんですね。この高さになるとアマガエルはとびはねることができませんし、乾いてきますと、ざらざらした表面でなかなか吸盤がきかなくて上がれなくなってしまいます。結果として、晴れてしまうと干からびて死んでしまうわけです。
こういうことは、普通の車の通る道をいろいろな生き物が横断してひかれてしまったり、大型の動物が車にはねられたりと、人間がつくり上げたいろいろな環境の変化に生き物が追いつけなくて死んでいってしまう構造につながっていくわけです。
川岸、陸と水辺をつなぐ非常に大切なところが護岸されてしまうことも、最近よく見かけます。これも、今なぜ問題になっているかというと、必要以上に、危険防止以上に安全なところまでもすべてこういう方式にしてしまうことが問題なわけです。
これは林道工事で、世界遺産になったブナの原生林の白神山地の林道工事の様子です。山の中でそういった工事があると、雨が降るたびに川が汚れてしまうわけです。土砂の汚れは、川の中ではずっと沈殿することなく海まで行って、沿岸の動物が一番繁殖する藻場という、海藻がたくさん生えて小さな生物がたくさん生活している部分を埋めてしまうわけです。ですから、森林開発とか林道工事なんかも、こういうふうに上砂が流れ込まない工夫がもっとされなければいけないわけです。そうした大きな問題以外に、人間の生活でたくさんの問題が出ています。
あるキャンプ場では、流しの排水を大量に流しています。キャンプに来た人が食器を洗うときに、食べものが残っていてもそのまま流して