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山間の渓流ですから、水温がいつも19度冷たくて、子供にとってはかなり負担が大きいと思われますが、遊び始めて夢中になってしまうと、唇が紫色になってもなおかつ潜って遊ぶという、都会の子供にとっては飽きることのない豊かな自然だったような気がします。

 

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これは水中の様子です。子供がシュノーケルと水中マスクをつけています。これによって自然の川の中で何時間でも息はずっとできるわけですから、いろいろな生き物の様子を観察することができます。またあるとき、余りにも川が冷たいというので、子供たちに薄いウエットスーツの生地でつくったベストを着せるようになりました。左から2番目の黒い服を着ているのがリーダーです。リーダーだけウエットスーツを着ているのですが、それは常に水の中に立って上がることができない状態なので、子供たちの安全を確保するためにやむなく着ているわけです。子供たちが運動靴を履いて水遊びをしているのにお気づきかと思いますが、これは本来、自然に親しむということにおいては、できれば素足で水底の感触や、コケでぬるっとした岩の様子、それから川の中に沈殿している枯れ葉や中に潜んでいる魚の感触を足でも感じてほしいと思っていたのですが、残念ながら、このような川の上流でもたくさんの釣り人が入ってきたり、心ない観光客が遊んでいった帰りに飲み物の瓶を投げ込んだり、釣針や時には要らなくなったオートバイなんかを捨てていくことがあって、やむを得ずこういう靴を履かせるというスタイルをとっています。

川のプログラムは、危険なプログラムです。これはもう、どう説明していったところで、完全な安全というのはありません。それと、それに対してはリーダーには安全管理というか、それなりの技術というのが欠かせません。それと子供側の心構えです。

もうひとつ、一番私たちが川の中で活動することについて子供たちに伝えたかったことは、川というのは子供たちの遊び場ではなく、生き物の家であり、そこにお邪魔させていただくという感覚を忘れないでほしいということ、そして、その中で生き物の生活を見せてもらっているんだということを忘れないでほしいということを伝えていきたいと、いつも考えています。

 

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【命について】

 

教室では、命を考えるプログラムというのもあります。それは、教室を始めたころから鶏を飼ってえさをやり、名前をつけて、そして最後はどうしようかというプログラムです。基本的には、食べるために買ってきた鶏です。鶏を抱いたり、さわって体温を確かめたり、羽根の様子や羽毛の様子などを感じてきますと、だんだん愛着がわいてくるわけですね。

それでは、人間が食べるということはどうい

 

 

 

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