ていたしね。(笑)幸いなことに、うちの場合はとても恵まれていて、みんな老衰で死んでくれました。まっとうしてね。そして、たくさんの孫や、場合によってはひ孫たちに見守られて。そして、うちは代々、木を植えてきました。たくさんの樹木、たくさんの生き物たちに囲まれてね。ぼくの先人たちは、いま、ぼくが話したような状態のなかで、いってくれました。
そういう実感がないときって、恐いですよね。それは、お歳を召した方、若い人たち、みんな関係なく、恐いと思う。だから、なんでも悪いことができるのですね。生きているうちが花だから、死んだら終わりだから、生きているうちに見つからなければなにをやってもいいわけだという論理。これは、死んでいくのは恐いですよ。そんなふうに生きてきたら、バチがあたりますよね。いまニュースを聞くと、だいたいそういう問題ばかりです。
そのような風景。どんな風景のなかで死んでいくか。これが、じつはぼくの大テーマでして、いま国際会議などでぼくは座長をやらされることが多くなってきました。というのは、みなさんびっくりするかもしれませんが、いま、「生きもの地球紀行」という番組をやっていますね。みなさんにご覧いただいている。あの番組は、日本でもたくさんの人たちに見ていただいています。場合によっては、大河ドラマよりも視聴率がいい日もあります。
たとえば、夏にやりましたホタルのときなどは、どれだけの人たちに見ていただいたか。ぼくは、ああいうものを全部つくりながら、何度も泣き泣きつくって、泣き泣き見たか。きっとみなさんも、あれを見て、泣いてくださった方が多いと思います。たった、ホタルです。ホタルの話もたくさんしたい。それから、このあいだ、「日本のグローバル・ファミリーのチームならいいよ」と――海外に輸出するときに、「グローバル・ファミリー」というのですよ。
話があちこちいきますが、日本でも人気があるのだけれども、あれは海外にいくともっと人気があるのです。「グローバル・ファミリー」といいまして、「地球みな家族」というような意味でしょうか。「グローバル・ファミリー」というタイトルで、じつは日本のテレビ番組のなかでいちばんたくさん輸出している番組なのです。ついこのあいだまでは、日本で輸出している番組のトップは「おしん」というテレビ小説。あれがいちばん多く輸出されていました。でも、それは私たちの歴史とか、生活実感とか、生理実感が非常に似ている東南アジアにおもに輸出されました。でも、「グローバル・ファミリー」はどちらかというと、歴史も、ものの考え方も、文化もほんとうにちがう西洋の人たち、白人の人たち、イギリス、フランス、アメリカなど、そういうところからまず買っていただきました。そこから人気が出ました。いま、圧倒的にあの番組が人気があるのですね。なぜ人気があるかということも、おいおい話したいと思いますが。
そのようなことで、かつてわれわれの自然番組をつくる、ないしはそういう自然科学の、地球であったり、宇宙であったり、生きものであったりというような学問をしている人たちの国際会議が、年に2回くらいあります。じつはいま、私のスタッフたちがそこに行っているのですが。だいたいが、年に1回はアメリカのイエローストーン国立公園のふもとにあります小さなまちで、ジャクソンホールというまちがあるのですが、そこで、むかしの「シェーン」という映画があったでしょう。「シェーン・カムバッ