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区の豪雪塾のメンバーである。

豪雪塾は厳寒期の2月第1土・日曜日に開催され、毎年百人以上の方が参加する。

内容は屋根の雪堀り、野兎狩り、塞の神づくり、雪上レクリエーションなどで、地区の人たちも民泊や手伝いなどに協力している。

このイベントの特徴はリピーターが多いことと、民泊先と親威付き合いを希望する都会人が多いことである。

豪雪塾は都会人に心のふるさとを提供するだけでなく、我々にも雪と前向きに取組む大切さと豊かな自然を再認識させてくれた。

 

相田と農作業体験ツアー

町内の全耕地が棚田といっても過言ではないほど、傾斜地に幾何学模様の田が広がっている。

平成7年6月には、これらの棚田はどのように活用保存していくかをテーマにした「たんぼシンポジウム」が開催された。

翌8年度から農作業体験ツアーを開始し、都会の人たちに棚田のはたす役割や農作業の大変さを実感してもらった。

主な内容は5月下旬に田植えと山菜取り、7月中旬に草刈りとホタル鑑賞、9月下旬に稲刈りとキノコ取リである。

特に稲刈りは昔ながらの手作業で、稲束をハセに掛けるところまで体験してもらっている。

高標高地ほど大型機械は導入できず、急傾斜地では畦畔の草刈りも容易ではない。

農家の高齢化は耕作放棄地を拡大させ、水管理ができなくなった棚田は地すべりを起こす可能性が高い。

ある写真集に当町の棚田が数多く掲載されたことから、近年首都圏を中心に写真を取りに来る人が増えた。

また、町でも棚田と広葉樹(ブナ)の大切さを宣伝するパンフレットを現在作成しており、後世に残すべき重要な地域資源と位置づけている。

 

ブナの森コンサート

平成8年6月、美人林でクラシックコンサートが行われた。

美人林とは樹齢70年位のブナ林で、人間にたとえれば20歳前後、その木立が若々しくしなやかなことから名付けられた。

運営主体は町内の有志が実行委員会を組織し、事務局はとりあえず役場の振興課に置くことになった。

仮設ステージはブナ林を極力傷めないように設置され、観客は落ち葉が敷詰められた斜面に座って聴いた。

ちょうどローマ時代の半円形コロシアムのような感じで、斜面が天然の座席の役割をはたした。

正直なところこのコンサートは偶然が生み出した産物で、その発端は当町の廃校を利用している舞台芸術家伊勢谷氏の何気ない一言だった。

要約すると、一流のコンサートホールに負けないくらいの残響効果があること、森林浴を兼ねてリラックスして聴けること、なによりも美しいブナ林で中世王侯貴族の雰囲気を味わえることなどであった。

出演者はNHK交響楽団のメンバーを中心に、オペラ歌手や妖精役のダンサーなど約10名だった。

実行委員会では始めての試みのため、どのようにして宣伝したら良いのか、どうやってチケットを売ったら良いのかさえもわからないまま5月の連休開けを迎えた。

ところが新潟日報という県内紙で取り上げられた途端、役場の電話回線がパンクするほどの予約が入り、残券はわずか2日で完売してしまった。

当日は心配された天候にも恵まれ、予定時間を約1時間も上回る熱演に観客は大満足だった。

問題は駐車場が近くにないため会場まで相当歩かなければならなく、スタッフ全員苦情が多いだろうと覚

 

 

 

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