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題からは除外することとされている。

以下では、上記の諸項目のうち、その中軸となる関与類型の問題と、その基礎にある法定主義および一般法主義の原則について触れることにする。

 

*関与法定主義

まず、委員会勧告では、地方公共団体に対する国の関与については、その対象が自治事務と法定受託事務のいずれであるかにかかわりなく、いわゆる「法定主義」をとる、すなわち、関与の根拠および態様は法律または法律にもとづく政令で定めなければならないこととするとしている。言いかえれば、国の行政機関が地方公共団体に対して何らかの関与を行うには、その種の関与を行うことができる旨の法律の根拠が必要であり(いわゆる「法律の留保」)、一定の関与がそのような法律の根拠なしに行われたときは、それは相手方地方公共団体に対する関係で違法となるということである。

 

*一般法主義

次に、委員会勧告では、自治事務および法定受託事務に係る国の関与についてそれぞれ一定の類型を示すとともに、それらを一般ル―ル法に定め、個々の関与については、原則としてこの一般ルール法の関与類型の範囲内で、上述のように法令で定めるものとする。これがいわゅる「一般法主義」である。もちろん、一般ルール法の関与類型の範囲内でありさえすればよいというわけではなく、それぞれ必要な限度においてのみ個々の関与が定められるべきであることは言うまでもない。

 

*自治事務に係る関与類型

さて、そこで、関与類型としてどのようなものを定めるかが問題となる。本稿では、紙数の制約もあり、主として自治事務に係る関与類型のみを考察の対象とするが、自治事務に関しては、委員会勧告は、そこでの国と地方公共団体の関係が、互いに区別された別個の行政主体としてできるだけ対等な形で協力しあうという関係であることを前提としつつ、一般ル―ル法の関与類型としていくつかのものを掲げている。以下、順に見ていくことにしよう。

技術的助言・勧告、報告徴収――自治事務に関して法律が何らかの規定を置いている場合、国(当該法律を所管する省庁)は、その法律にもとづく事務の運営等について適切と認める技術的な助言・勧告をすることができる。これは、個別法の規定をまつまでもなく一般ルール法自体を根拠として行うことができるとされる一方で、しかし、法的拘束力のないものである。従来、国の行政機関が地方公共団体に対して法令の解釈やその他の事務処理基準を通達等の形で示すことが多かったが、今後は、?事務処理基準として必要なものは法令(または法令の委任にもとづく告示)で定める、?法令の解釈に関しては、当該行政機関はそれを技術的助言勧告として示すことができるが、法令執行上統一が必要な基本的事項と、単に推奨すべき事項や事務連絡等にとどまる事項とは、明確に区分すべきであるとされている。国(法律所管省庁)は、また、当該事務の運営等の合理化について情報を提供するために必要な資料の提出を求めることができる。なお、この、委員会勧告に示されている技術的助言勧告および報告徴収の概念は、言うまでもなく現行地方自治法245条所定のそれ(自治大臣等による助言勧告等)を参考にしたものである。

事前協議――地方公共団体による事務の処理についてあらかじめ国(国の行政機関)と調整する必要がある場合には、個別法の規定により、協議を義務づけることができる。ここにいう協議とは、双方が意思の合致を目指して誠実に努力することを意味するが、現実に意思の合致が得られることまで必要とするわけではない。ただし、?国の税財政上の特例措置が当然に講じられることとなるような種類の計画を地方公共団体において策定する場合とか、?いわゆる総量規制またはそれに類する制度のもとで国が定める総量的基準をもとに地方公共団体が計画を策定する場合などについては、例外的に、国との合意(または国の同意)を要する旨を個別法で規定することができる(合意または同意を要する事前協議)。事前協議が義務づ

 

 

 

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