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しております。

しかしながら、4次にわたる委員会の勧告を通じてお示しをした方策が、政府においてすべて実施に移されたとしても、明治以来続いてきた我が国の中央集権型行政システムを根本から変革するという究極の目標からすれば、いまだその出発点に立ったにすぎません。これから国と地方公共団体との対等・協力の関係を築き上げ、真の意味での分権型社会を確立していくためには、政府における取り組みだけでなく、新たな関係の一方の担い手であるところの地方公共団体の果たすべき役割こそが、その鍵を握っているものと考えております。中央集権型行政システムの中核を形成してきた機関委任事務制度の廃止と国と地方公共団体との新たなルールの設定によって構築される新しいシステムに肉付けをし、血の通ったものにしていくのは、地域住民と地方公共団体の具体的な営みをおいてほかにはありません。地方自治に携わるすべての関係者が、これまでの国への依存意識を克服し、自己決定・自己責任の原則を活かして、地域づくりやくらしづくりのための具体的な施策を自主的・自発的に展開するようになってはじめて、分権型社会が現実のものとなり、そのことが間近に迫った21世紀の我が国の発展の基礎となる活力ある地域社会を作り上げることにつながるものと確信する次第です。

地方分権がいよいよ実行の段階を迎えることとなる年の幕開けにあたり、地方自治関係者の皆様方に、分権型社会の創造に向けての決意を新たにしていただければ、私ども委員会としても、まことに心強い限りであります。

地方分権推進法に基づき5年の期間を限って存続するものとされている委員会の活動も、ちょうど折返点を迎えることとなりましたが、住民自治を基礎とした活力ある分権型社会の実現に向けて、引き続き、地方自治関係団体の御協力と御支援をお願い申しあげますとともに、皆様方の益々の御発展を心よりお祈り申し上げまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

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