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のではなく、住民と一緒に佐原の町並みを考えそれを通じてまちづくりの魅力を地域住民に広げていこうとする意図があったからです。結成後、「佐原の町並みを考える会」は、基本的な活動として月に1度の定例会を開催し、町並み保存や伝統的建造物群保存地区に関する制度について学習し、まちづくりについて提案を出し合うなど検討を進める他、町に出て調査を行い、伝統的建物の台帳づくり作業を行いました。平成3年7月に、佐原市の景観を考える上で小野川の占める位置が極めて大きいとの見地から、会の名称を「小野川と佐原の町並みを考える会」に改称しました。同年9月には、「佐原市小野川・香取街道歴史的町並み保存基本計画(提案)」として、考える会の今までの作業結果がとりまとめられ、市長に報告されました。

市では、この報告を基に同年建設省の「まちなみデザイン推進事業」の補助を受けて「佐原市佐原地区町並み形成基本計画」の作成を行いました。作成作業は考える会が中心となって行い、これから町並み保存に対し、行政と住民による車の両輪が急速に動き出したといえます。

その後、平成6年4月に「佐原市歴史的景観条例」を施行し、「佐原市町並み保存事業助成金交付要綱」に基づき住民と協働で町家の保存整備を図る下地ができ、平成7年4月からは町並み保存の専門部署としてまちづくり推進室を設置し、運営体制づくりが出来上がりました。

町家の修復整備が、条例の制定後住民の合意を得て進んでいます。年々、江戸情結漂う町並みに一層の磨きがかかり、多くの観光客が訪れるようになり、また、テレビ番組等の撮影地として取り上げていただいています。

今後、町並み保存から活用へと、小野川と香取街道周辺の歴史的町並みをさらに磨き上げ、市民が誇れる顔とすることが今、望まれています。それには、まちづくりの主人公である市民一人ひとりが自分達のまちづくりを積極的に進めていくことが大切です。

 

江戸まさり 佐原の大祭

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