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佐原で住民コミュニティエネルギーが最大に沸出するのが佐原の大祭です。佐原の大祭は、300年の歴史を持つ日本有数の山車祭りです。毎年7月に人坂神社祇園祭、10月には諏訪神社秋祭りが行われ、大人形の飾りと豪華な彫物をつけた10数台の山車が老若男女の参加により、日本三大囃子である「佐原囃子」の調べにのりながら盛大に曳き廻されます。

以前は伝統を残すため、とりわけ閉鎖的で自己満足的な祭りとしての運営が行われていたため、観光的な知名度はかなり低い状況でした。昭和62年に佐原の祭りの殿堂として水郷佐原山車会館が開館し、町内協力による本物の山車の展示や祭リビデオを放映した結果、観光客の声、佐原の大察の素晴らしさを聞くにつれ、住民の中に祭りや山車に対する意識の変革が表れました。

このような流れを受け、佐原の知名度の低さからくる観光の脆弱性を打破し、佐原のイメージアップ及びネームバリュー確立のために、最も有効性のあるPRイベントとして佐原の大察を、平成5年より地域活性化イベント「観光客を集客するための観光型祭り」として官民協力体制の下実施しています。地域に根差したイベントの展開により、観光評価も高まり、年々遠方より多くの方々にお越しいただけるようになり、また、知名度の向上により通年を通して観光客が訪れてくれるようになり、イベントを契機とした地域経済の活性化が進みつつあります。

また、生人形としての大人形は文化財的価値を持つ物であり、その保存を図るため、(財)自治総合センターの深いご理解をいただき、自治宝くじによるコミュニティ助成事業によるレプリカの作成が一部町内の負担より行われています。

現在、山車の保存整備が進み、祭りが隆盛し、よりー層山車祭のPRを行うため、佐原の大祭の国指定文化財への取り組み活動が、官民協働で始まっています。

 

おわりに

佐原市は県内でも最も自然と文化に恵まれた伝統あるまちです。来るべき21世紀に向けた市の発展には、伊能忠敬の不携の精神に学んで、「住んで良く、訪れて良いまち」として、行政と市民が協働でその特長である「水と緑と歴史」を最大限活用したまちづくりを今後も引き続き展開していきたい。

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