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地方分権推進フォーラム’97in“いわて”

照井 崇(岩手県総務部人事課長)

 

基調講演

「地方分権ってなんですか」

講師 島森 路子(『広告批評』編集長)

 

はじめに

地方自治法施行50周年の今年、「地方分権推進フォーラム’97 inいわて」が、去る9月2日、盛岡市内のホテルを会場に開催されました。主催は、岩手県と地方6団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会)、財団法人自治総合センター。東北地方では唯一本県が開催地となったもので、雑誌『広告批評』編集長の島森路子さんによる基調講演に続き、日本放送協会解説主幹の篠崎鉄夫氏をコーディネーターに「分権型地域社会の創造に向けて」と題したパネルディスカッションが行われ、6人のパネラーがそれぞれの立場から活発な議論を繰り広げました。その模様を紹介します。

私は秋田県横手市の出身で、岩手県はとても近い存在でしたが、これまであまり縁がなく、今回が2回目の講演となります。

実は一昨日まで中国におり、広大な世界に浸っていました。そのためか、日本のような小さな国でなにが分権か、と感じながら新幹線に乗ったのです。しかし岩手の涼しさにびっくり。これだけ気候や風景も違うとしたら、それぞれ特有の価値観なり生活なりがあって当然ではないかと、気を取り直しているところです。

私は、学問的にも政治的にも、地方分権についてはまったくの素人。

今回講演を引き受けたのは、素人が地方分権という言葉を自分のものにしないと、本当の地方分権が成り立たないのではないかと思ったからです。

先ほど知事の挨拶に、地方分権はバラ色の道でありイバラの道とありましたが、私も同感です。それは政治に携わる方々ばかりでなく、生活者一人ひとりの問題にかかわってくると思うからです。

地方分権というのは、中央集権的な価値観から脱却して、地域が自立すること。自立というと、ここ20年来女性について使われてきました。身近な問題に引き寄せて考えた場合、地方分権も女性の自立になぞらえることができます。

女性が自立するときに必要なことは、まずは経済的な自立です。次には精神的な自立。自分の生き方に対する責任と判断力をもたなければ、自立しているとは言えません。そしてもう一つ、自立する具体的な方法としてオリジナルな方法をもっているかどうかです。このような個人レベルで言えることが、地域にも言え

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