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新幹線の開通、オリンピック

開催等を契機としたまちづくり

松葉 邦男(長野県軽井沢町長)

 

軽井沢町は、長野県の東端にあり、県歌「信濃の国」にも歌われている活火山「浅間山」の南東麓に広がる標高1,000m前後に位置し、年間平均気温は8.5度、真夏でも30度を越えることはめったになく、熱帯夜を経験することが少ない高原のさわやかな町です。

江戸時代には、中山道の宿場として栄え、軽井沢宿・沓掛宿・追分宿は「浅間根腰の三宿」といわれ、大いに繁栄しました。

明治19年には、英国人宣教師アレキサンダー・クロフト・ショー氏により、避暑地として世に紹介された軽井沢は、以来、国際的な保健休養地となり、年間約780万人もの保養・観光客などが訪れる、日本を代表する国際親善文化観光都市として、まちに暮らす人々と、このまちに訪れる人々が心を通わす国際的な交流の舞台として発展を続けてきました。

国内外に紹介されてから百十余年、避暑地から国際保健休養地へと発展してきた当町にも、高速交通時代の波が訪れ、平成9年10月1日には、東京と当町が約1時間で結ばれる、北陸新幹線が開業されたことにより、現在、所有している別荘等から首都圏への通勤が可能となり、転入者及び保養・観光客の増加が予想されます。

さらに、長野冬季オリンピック・カーリング競技大会の開催により、東京オリンピック馬術大会開催以来、世界でも類を見ない夏冬2度の国際スポーツイベント会場となり、人・物・文化の交流が今までにも増して大きな広がりをみせ、活発になるものと思われます。

このような社会情勢の変化に対応するため、平成10年度よりスタートする第3次長期振興計画後期基本計画には、高速交通網の整備に伴い定住人口の増加及び保養・観光客の増加を見込み、これまで当町が取り組んできた自然環境の保全を念頭におき、自然と人々の生活が調和した土地利用や都市計画に向けた、より一層の取り組みを図ることがまちづくりの主要な基調の一つとなっています。

環境保全を基調とした住みよいまちづくりのためには、生活・生産などの基盤整備に結びつく都市計画の推進が最重要課題となっているため、20歳以上の住民全員と別荘所有者を対象とした「まちづくリアンケート調査」を実施し、都市計画マスタープランの策定を進めています。

また、カーリング競技の普及など、住民の健康増進と地域意識の高揚を図り、住民がリフレッシュできる環境づくりに取り組み、21世紀に向けて町の将来像である「自然の中で開かれた心と世界に出会うまち」の実現と具現化に努めてまいりたいと考えています。

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