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アーヘン市内の風力発電施設

 

?連邦電力買取り法……太陽光発電と風力発電の電力は一般の電気料金の90%で、水力と廃棄物発電の電力は75%で電力会社に買取りを義務づけている。

?1000ルーフトップ計画……住宅屋根に太陽光発電装置を設置する場合には、政府が費用の50%、州政府が20%を補助する。

?250MWウインド計画……風力発電を系統に連携させることを条件に、lkw当たり約15円の高値で10年間電力会社に売電できる。自家消費の場合でも約5円の補助金が10連邦政府から支払われる。

?グリーンタリフ制度……化石燃料使用による環境汚染問題に共感している電力消費者に電力料金に追加料金(グリーンタリフ)を加算して払ってもらい、新エネルギーの財源にする。(普通の電力料金約15円、追加料金約28円)

?電力の高値買取り制度……新エネルギー発電の電力コストに見合うように電力供給会社が電力を買い取る。この購入財源は一般電力料金に定率で加算し、一般消費者からの電力料金で賄う。連邦政府の高値買取り制度はあるが、発電コストに見合った料金で買い取るのはこの制度が初めてで、アーヘン市が提唱したことから「アーヘンモデル」と呼ばれている。

いずれにしても、ドイツ人の実直で理知的な国民性を改めて感じました。

 

4.パリの水道事業(フランス)

パリの人口は200万人で、パリ広域圏の人口は900万人となっています。

パリの水道事業を調査するため、パリ水道管理会社及びイブリー浄水場を訪問し、説明を受けました。

パリ市の水道の歴史は古く、1859年に飲用水と非飲用水の2系統の水道施設を作ることが決定され、現在も使用されています。1960年代に入り、施設の不備老巧化が顕在化しましたが、資金問題と労使問題から暗礁に乗り上げ、抜本的な機構改革に手をつけぎるを得なくなり、給水部門は1984年以降順次民営化され、浄水部門は1987年から民営化されました。しかし水質検査は今でも市の水道局が行っています。

イプリー浄水場は、パリ市南東に位置し、日量30万m3ボの水をセーヌ川から取水しています。水処理はパリ市の水質基準がEUの水質基準よりも厳しい「病人が直接飲める水」という高い基準をクリアするため、生物処理、オゾン処理を採用し、極力薬剤の使用を控えた環境に配慮した浄水処理を行っております。

 

5.調査結果の概要は以上のとおりですが、これらの事業のほかにも参考になることが色々ありました。特に、多様なものの見方考え方を知ることができました。例えば、オランダでは学校に水泳プールを設けず、授業になると公設のプールに連れていき訓練をしていること。電車に乗るのに切符は買うものの改札口がないこと。また、イギリスでは戸籍がないこと、大学入学でも、うちの大学で80名募集、但し国家試験のAレベル何個以上の人を対象としており、受験戦争がないこと等々。これらは私どもが常識化=固定観念としていることを改めて見直す必要があることを教えてくれました。私どもが日々行う仕事についても、「これでいいのかな、もっと別な方法はないのかな」と見直す必要があります。

今回の調査は、参加者一同にとって大変実り多いものとなりました。このような機会を与えていただきました(財)自治総合センターをはじめ、調査に際してお世話になった方々に対し、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

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