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地方分権推進委員会

第2次勧告と地方の主張

渕上 俊則(地方六団体分権推進本部事務局長)

 

去る7月8日に、地方分権推進委員会から橋本総理に第2次勧告が提出された。昨年12月の第1次勧告と併せて主要な事項については、勧告が出揃ったことになる。

昨年3月になされた「中間報告〜分権型社会の創造〜」において「何故にいまこの時点で地方分権か―地方分権推進の背景・理由」として、次のように整理している。

?中央集権型行政システムが制度疲労をきたし、地域社会の自治を制約し、地域的な諸条件の多様性を軽視し、地域毎の個性ある生活文化を衰微させてきた。

?変貌する国際社会への対応を適切に行うためには、地方分権を推進することにより、国の各省庁の負担を軽減し、国は外交等の本来的な事務に専念できる。

?東京一極集中を是正し、多極分散型の国土形成を実効あるものとするためにも、地方分権を推進し、政治・行政上の決定権限を地方に分散し、地域の産業・行政・文化を支える人材を地方圏で育て、地域社会の活力を取り戻させる必要がある。

?個性豊かな地域社会を形成するため、ナショナル・ミニマムを越えるサービスについては、地域住民のニーズを反映した地域住民の自主的な選択に委ねるべきである。

?高齢社会・少子化社会に適切に対応するためには、住民に身近な基礎的な地方公共団体である市町村の創意工夫を活かし、行政の総合化と公私協働を促進すべきである。

 

そして、「目指すべき分権型社会の姿―地域分権推進の目的。理念と改革の方向」として、次のような提言をしている。

?地方分権は自己決定権の拡充すなわち「国から地方へ」の権限委譲であり、関与の縮小であるという意味において、「官から民へ」の関与の縮小を求め、「官主導から民自律へ」の転換を追求している規制緩和と軌を一にしている。

?国と地方公共団体の関係を、現行の「上下・主従の関係」から「対等・協力の関係」に改め、国の事前の権力的な関与を必要最小限に縮小し、国と地方公共団体の間の調整ルールと手続きを公正・透明なものに改める必要がある。

?地方分権型社会に移行すれば地方公共団体の「自ら治める」責任の範囲は飛躍的に拡大することになるので、地方公共団体は政策形成能力と地域住民の期待と批判に鋭敏かつ誠実に応答する責任を負うことになる。

?「中央省庁主導の縦割りの画―行政システム」から「住民主導の個性的で総合的な行政システム」に転換すれば、知事、市町村長が「国の機関」から解放され、「自治体の首長」であるという本来の立場に徹することができ、行政サービスが地域住民の多様なニーズに即応する迅速かつ総合的なものになり、国、都道府県、市町村間で行われてきた「官官折衝」のためのコストが節約でき、これを行政サービスの質・量の改善に充てることができるようになる。

 

第1次勧告においては、次のような内容の勧告をしている(平成9年1月号3頁以下参照)。

(1)機関委任事務の廃止

国と地方公共団体の関係を「対等・協力の関係」ヘ変革していくために、首長を国の下部機関と位置付ける機関委任事務を廃止する。廃止後引き続き地方公共団体が行うべき事務は原則として自治事務とするが、「事務の性質上、国の行政機関が直接執行すべきではあるが、国民の利便性、又は事務処理の効率性の観点から、法令に基づき地方公共団体が受託して行う事務」については、法定受託事務とする。

 

(2)国と地方公共団体の関係の新たなルール

国の関与の一般原則として、?法定主義の原則、?一

 

 

 

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