日本財団 図書館


する国際的認識が高まっていることを再認識するとともに、地方自治体側(IULA)の意気込みがいやがうえにも高まっていることを実感できました。また、日本でも最も緊急重要な課題となっている地方分権、多様性、パートナーシップの諸問題が世界的に共通なものであることをあらためて認識させられました。

(2)地方分権等地方統治の基本的あり方(「総論」の国際的合意)

今回のテーマは、第2千年期・20世紀が終わり第3千年期・21世紀がはじまろうとしている現時点において、地方団体が果すべき役割を、中央・地方政府間の権限・財源の移動という狭義の「地方分権」の問題だけでなく、コミュニティを基礎として、市民・市民組織・ビジネスでの関連も含めて、長期的で広範な視野から包括的に取り扱ったものであり、時期的にも内容的にも適切なものだったと言えましょう。それが「最終宣言」という形で集約され、理念・原則について参加者の国際的合意を得たことは、意義があったと評価できると思います。

(3)今後の具体的実行(「各論」の実施)

しかしながら、理念・原則(総論はまとまったものの、問題は具体的実行(各論)です。

当然のことながら、民主主義、地方自治の発展段階は、国。地域によって大きな差異があり、今回の会議の議論の中でも関係者の認識内容が食い違う面も見受けられました。

多くの困難は予想されますが、「総論賛成・各論反対」にならないよう、それぞれの国・地方において衆知を集め(必要により国際的協力も得て)、地道に現実的に取り組み、持続可能な発展を確保しつつ、豊かなコミュニティの実現を図ることが要請されていると言えましょう。これからが正念場です。

 

6. 日本の対応

(1)現下の急務である行財政諸改革の実行

言うまでもなく、わが国では、80年代から「官から民へ」「中央から地方へ」のスローガンの下に、行政改革が図られてきており、現在「規制緩和」と「地方分権」を2本柱としてその検討が大詰めを迎えています。

したがって、真に実のある地方分権その他の諸改革を実行することが、結果として、大国である日本の動向に注目している他国によい実例を示すことになり、最大の国際協力となるわけです。正に一石二鳥です。世界のためにも、地方団体・国その他関係者の熱意と努力が切に望まれます。

(2)世界情勢把握のための体制の強化

WACLACやIULAの動きなどに端的に表れていますが、地方団体側の発言力が以前に比較して、国際的にも非常に強くなってきています。

そこで、大きく変動する世界の情勢を効率的に把握し、迅速・的確に対応して自らを改革し、かつ、自らの情報を発進して国際的に貢献するためにも、わが国の地方団体・地方団体関係者は、国際組織との結びつき、国際協力のあり方、国内での連絡協力のあり方等について、新しい観点から、体制の強化を図る必要があるのではないかと感じました。

 

7. おわりに

以上が今回の会議に関連する概要です。

繰り返しになりますが、今回の参加で、私は、わが国だけでなく、世界規模で「地方の時代」「地方分権の時代」が到来していることを実感できました。同時に、開催地となった「インド洋の真珠」と呼ばれる地上の楽園モーリシャスで、白い砂浜、エメラルドグリーンに光る海、火山性の奇勝奇岩、痛く感じるほど強烈な南国の太陽など自然の美しさを満喫するとともに、物質的には必ずしも恵まれてはいませんが、素朴で心豊かな人々が築いているおだやかで平和な多元社会の生活ぶりを垣間見ることもできました。

なお、本文中意見にわたる部分は、私の個人的見解です。

011-1.jpg

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION