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・また、この段階では大学や船舶技術研究所の役割が大きいが、民間も含めた各研究機関が競争的に取り組むことも効果的であり、公募型基礎研究推進制度の活用も一手段である。

 

?実証実験(機動的な“d”)

・公共性が高く万全の安全性が要求され、また、初期リスクも大きい運輸技術においては、実証実験まで実施しないと将来は見えて来ない。

・基礎・応用研究の段階の成果を機動的に実証実験のできる体制作りが是非とも必要である。

・ 財源も大きな問題であり、従来同様の個別のプロジェクト毎の資金手当てよいかは検討の余地がある。

・また、厳しい財政状況で国の資金が限られる中、幸いにも造船分野には船舶振興会の存在があり、特に1号交付金は造船分野での利用が前提とされている。

・これに民間資金を加え、実証実験を機動的にやれる体制を検討する必要がある。

 

?環境・安全に関する安定的な研究

・環境・安全に関する研究は、公共性は高いが、必ずしも価格へ反映される訳ではない。

・そのため、基礎から応用、実証まで景気動向に左右されず安定・継続して実施できる体制、また、公的資金が投入しやすい体制が必要である。

 

?生産技術の研究

・はじめに、生産技術については国が関与する部分は少ないとしたが、造船・海洋技術の重要な柱の1つが生産技術であることは当然である。

・個々の企業の研究体制の縮小を補完するためにも、共同してこの分野の研究開発を効率的に進めうる体制が必要である。

 

4.結論

 

・以上の様な諸要請に応えるためには、研究開発の段階に応じた産学官のこれまでの研究体制に加え、より総合的かつ大規模な研究開発の実施が可能となるような体制が必要である。

 

・運輸技術審議会では早くから、こうした課題に応じるものとしてCOE(中核的研究拠点)の構想が打ち出されているが、そのような考え方を取り入れた効率的な研究開発体制の具体化に向けて早急に検討を進めていく必要がある。

 

・国としても、先進国の一員として、造船・海洋技術の発展を通じ、21世紀に向けて、我が国のみならず、広く世界の人々の幸福と世界経済の健全な発展に貢献すべく、国際社会の中で、立場にふさわしい責任を果たしていくことができるよう将来を見据えた施策を講じていきたい。

 

 

 

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