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ルでスピードも含めて,最近は操縦性も含めてギャランティーをする。それに対して,波浪中の性能のギャランティーというのは全然やっていないわけです。これはそんなのやったってもうからんというのもあるし,色々あるとは思うのですが,今まで培ってきた日本の技術カプラス,もう一寸努力すれば,必ずやそうしたことが日本主導でできるのではないかということです。そういった船舶の総合性能保証,もう少し細かく言うと,波浪中の性能の保証もするというのを高々と掲げて,逆にそのことによって我々は自分自身の首を絞めることになるかもしれませんけれども,それによってさらに日本の技術力,あるいは研究といった面が進むのではないかという気がします。波浪中の性能というのは,例えば安全性,運動だけではなくて,構造の問題も全部含めてギャランティーをしたらいいのではないかという提案なのです。

 

年代構成

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○末 岡(三菱重工) 今まで議論が余りなされていない点で,御意見をお伺いしたいと思います。

将来技術となると,やはり私ども一体誰がどうやるのだということは必ず頭の片隅に引っかかってくるわけですが,10年スパン,あるいはもっと長いスパンで物を考えないといけないと思います。振り返って,例えば私どもの職場の人員構成を考えてみますと,いわゆるワイングラス状になっている。40代,50代は多くて,30代は極端に少なく,20代はもう少し膨らんでいる。10年先を考えると,この20代の人たちが30代になるわけですから,非常に楽しみだなと思っています。先ほど小山先生から学生云々という話がありましたが。ちょっと手前みそになりますけれど,私どもの下関の造船所では単胴の高速フェリーをつくって6月に引き渡します。下関造船所も人が多い訳ではないので,構造だと入社して4,5年の設計者がとにかく走り回ってやらないといけない。もちろん研究所とか色んな分野の支援を受けているわけですが,走り回ってやって,ともかく苦労しながらやった。うちの社内報に写真入りで載っていまして,非常に苦労したけれども,最後,自分は船が好きだ,海が好きだというふうに結んでくれている。そう考えますと,先ほど学生が集まらないという話が出ましたけれども,ワイングラス状の人員構成というのを頭に入れると,10年先,20年先,まだまだ楽しみがいっぱいあるなという気がするというのが一つです。

逆に言うと,ただ楽しみだと言っているばかりではだめなんで,逆に10年先の将来技術を考えるときに,先ほど運輸省の方の講演では研究体制の話に少し触れられておりましたけれども,10年のスパンはもちろん目標は3年後と5年後とかいろいろあると思いますが,その中で40代,50代の研究者,技術者がどういう役割を分担していくのか。先ほど小寺山先生のお話で,海洋にしても待っていては来ないので,色々入り込んで行かなければいかんというお話がございましたけれども,40代,50代の研究者,技術者の役割り,相対的に数が少ない30代,そして20代の人たちの役割りを意図的に考えなければいけない時期ではなかろうかなと。

そういうことで,例えばあるテーマを掲げて研究や開発をやっていくときに,それを推進していく人達の年代構成を意図的にこうしようとか,そういうことも必要なのではと思うのです。その辺もし御意見,お考えがありましたらお教えいただければと思います。

 

海洋産業のスタイル

 

○小寺山  造船が,これからもし海洋に非常に大きく進出していくとすると,今までの造船業の特に設計・生産のスタイルというのは大きく変わらないといけないと思うのです。船というのは本質的に受注して,ドックでつくるのですから,優秀な設計者を本社にたくさん維持しておいて,生産現場でそれを詳細設計していくということで,一口で言うと,お城に立てこもる,あるいは塹壕戦,要するに陣地に立てこもって戦っているというスタイルなのですね。海洋工学は幸か不幸か現場に出ていって戦わなければいけない。そうすると,非常に優秀な人を少数派遣して物を造っていかなければいけない。今,発言があったようなことと考え合わせますと,造船所の場合は非常に優秀な知識が本社あるいは工場にあって,しかもそれが個人に分散してあるわけですね。だから,1人,2人が現場に行って物をつくろうとしても,非常に難しいことが起こる。要するに専門家をたくさんそろえないと困るということもあるし,知識が分散してしまっている。それで,私は知識の体系化,システム化が必要だ

 

 

 

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