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また貨物船もそのころ国産されるようになった大馬力の舶用ディーゼル機関を搭載した,北米航路の高速貨物船,いわゆるシルクシップと称ばれた畿内丸クラス10,304DWT,速力18ノット(図12参照)及び一軸一機の先がけとなった霧島丸クラス9,937DWT,を始め多数の優秀船が建造され,黄金時代ともいえる好況を呈しました。しかしながら優秀船建造助成は戦時軍用転換を想定したもので,事実これにより建造された客船群は航空母艦に改造されていずれも太平洋戦争で海の藻屑になっています。華やかに見えるこの時代にも既に暗い戦争の影がしのび寄っていたわけです。

一方,海軍艦艇の増強も国際情勢の悪化に伴って急速に行われ,既存の戦艦群の大改造および軍縮条約に規制されない重巡洋艦群の整備が行われました。特に鳥海クラス(図13),および最上クラスは他国の同クラスの巡洋艦にくらべて格段の重装備をもつ極限設計とも言える艦でした。昭和16年には戦艦大和,武蔵69,100トン(図14)が全海軍の期待を集めて竣工しましたが,時は既に大艦巨砲時代から航空機の時代に変わりつつあり,戦艦としての威力を十分に発揮することなく,航空機の餌食になっています。私は長崎で艤装中の武蔵の威容を見たことがあるだけに,造船屋として誠に残念な気がします。

太平洋戦争が始まると既存の貨物船が次々に沈められ,その補充と拡大する戦線の補給の確保のため軍の要請で戦時急造船,いわゆる船標船が多数造られ,終戦直前の昭和19年には175万トンに達しました(図1)。改E型戦標船を大量に造るため,三菱若松造船所,

 

 

 

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