
(72) CTOD設計曲線の衝撃問題への拡張
豊貞雅宏,後藤浩二(九大)
弾塑性状態における欠陥からの破壊強度評価手法として採用されているCTOD設計曲線は,静的な荷重が作用する条件下でのものであり,衝撃荷重のような任意ひずみ速度下において適用できるものはこれまで提案されていない。本研究では,従来のCTOD設計曲線を,衝撃荷重が作用する場合のような任意ひずみ速度下において適用する手法を提案している。そして同手法を用いて,阪神大震災で生じた柱梁仕口部からの脆性破壊事故解析を実施して,同手法の妥当性を示している。

(73) 構造物の疲労損傷予知のための犠牲試験片の開発
藤本由紀夫,新宅英司,濱田邦裕,藤井 堅(広大)
黄 飛,藤井建二(広大院),西川貴則(広島県庁)
犠牲試験片取付け法は疲労損傷予知モニタリングのーつである。構造部材の応力が拡大伝達されるように工夫した小型試験片を,構造物のホットスポット近傍に設置して一定期間モニタを行い,犠牲試験片に生じた疲労損傷の状態から,構造物の疲労損傷時期を推定する方法である。本研究は部材に接着で取付ける方式の犠牲試験片を開発し,疲労試験を行って犠牲試験片の疲労損傷予知特性を検討した。

(74) 溶接順序の影響を考慮した溶接構造物の残留応力分布および疲労寿命推定法について
豊貞雅宏,後藤浩二,山口喜久次(九大)
中島 到(三菱重工),松岡一祥(船研)
溶接順序が残留応力および疲労強度に及ぼす影響を調査した。また,ガス線加熱により残留応力を変化させることによる疲労強度改善効果についても検討した。その結果,直前の残留応力の寄与率を考慮することで複数の溶接による残留応力を推定できること,疲労き裂発生位置に近い部位の溶接順序を適切に選定することで疲労強度の改善が可能であること,修正MIL-HDBK-5D法を用いて基礎S-N線図から構造要素の疲労寿命推定が可能であることが判明した。

(75) 遺伝的アルゴリズムを用いた疲労劣化構造物の検査計画立案(英文)
藤本由紀夫,金成 燦,濱田邦裕(広大)
遺伝的アルゴリズムを検査計画立案に適用し,数値シミュレーションでその有効性を検討した。最適化問題は, 1検査間隔内の破壊確率の増加をある制約内に維持するという条件下で,生涯検査費用を最小化するよう定式化した。最適化パラメータは,検査間隔と検査手法である。

前ページ 目次へ 次ページ
|

|