
(52) 船体形状の記述と性能評価に関する研究(第一報)
荒井加容子(大阪府大院)
山田智貴,細田龍介(大阪府大)
船体形状の記述方法にフーリエ記述子法を用い,形状パラメターにより船体の肋骨線形状を表現することが可能なことを示した。曲率が正負に変化する船尾付近の断面の近似,ストリップ法で用いられるルイスフォーム近似では記述が困難である船首バルブ部の形状の近似もこの方法によって容易に行えることを示した。従来経験と勘に基づいてなされてきた船型改良,船体性能推定をパラメターとの関係を用いて推定,評価できることを,動揺物体に働く2次元流体力を例として示した。その結果,U型の断面の場合,形状変化に伴って付加質量係数が変化することが分かった。

(53) 美的認知論に基づく船舶意匠設計のための形状創成の試み
篠田岳思,福地信義(九大)
吉田誠也(千代田化工),鷹尾 潤(海上自衛隊)
本研究では,認知心理学的手法の中の,人間の視覚特性から道形美を抽出しようと試みる美的認知論的手法を用いて,形状が有する美の量を数量化し評価することを提案した。さらに,外形形状を構成する各要素を遺伝子と見なしてコード化して,美の量を目的関数として遺伝的アルゴリズムにより外形形状の最適解の探索を試みた。得られた解をデコードして外形形状をプロファイル図やゴンピュニ夕.グラフィクスにより表現した。

(54) 波浪により船体構造に生じる各種荷重間の相関について(第2報)縦荷重と横荷重により構造に生じる応力間の相関
河辺 寛,日比茂幸(防衛大)
笹島 洋(石播),見上孝一(住重)
バルクキャリアの船底外板に注目し,垂直,水平曲げモーメントにより生じる板の軸方向応力と波浪変動水圧の横荷重によって生じる外板の曲げ応力が合成された長期分布の相関係数について次の結果を得た。(1)板の軸方向応力と曲げ応力が合成された応力は,軸応力が曲げ応力に影響を及ぼし,単純に両者の線形重ね合せの値とはならない。(2)軸方向応力と曲げ応力の長期分布の相関係数は,非線形影響を考慮した場合と線形和とした場合の値はほぼ等しい値となり,両者の応力の位相差で近似できる。

(55) 設計データを用いた船体構造の離散最適設計に関する研究(英文)
周 国強,信川 寿(広大),楊 風祥(広大院)
本研究では,通常の設計変数だけではなく,実際の設計データを用いて,離散的な規格値である形鋼部材や整数である船側特設肋骨の本数および縦肋骨の本数などを設計変数とした場合の取扱い方法を述べ,離散値集合の変数を対応する二進数のコードへ変換して,遺伝的アルゴリズムによる,船体構造の離散最適設計を行う。数値計算例により,この手法の有効性を示した。また,エリート保存選択,多点交叉,一様交叉など遺伝的オペレータの探索効率も調べた。

前ページ 目次へ 次ページ
|

|