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(ハ) 大きな損傷または力のかかる部分あるいは気密を要する部分は裏貼り、二重貼り等の補強を施す。外面パッチは内面パッチより周囲10mm以上大きく切り出すこと。(図-2、図-3)

(ニ) 傷口の周囲とパッチの貼り合せ面を前処理として、所定のペーパーをかけ、面を溶剤で拭く。この場合ゴム面を剥離させぬよう注意すること。

(ホ)所定の接着剤で2液性のものは、定められた割合で促進剤を加えよく攪拌して使用する。2液性の場合は規定時間内に消費しないとグル化する恐れがあるから保存管理には十分注意すること。1液性のものは消費時間が長くてもよいので、比較的に管理し易いが、それだけ自然加硫に時間がかかる。

(ヘ) 接着剤塗布は通常3回行う。

第1回目は清拭用溶剤とゴムがなじみ深部に達し易くするようにうすめた糊液を使用し、第2回目は1回目がほぼ乾いた時点で貼り合せ面が平滑で密着し易くなるようたっぷり塗って十分に乾かす。

第3回目は貼り合せる両方の面が同じような粘着度になった時に接着するタイミング(ナックル・テスト)を整合するための塗布である。

ヘラかけは中心部から始めて、空気を排除して二つの面を密着させるように周縁に進める場合と、ゴム布の段違いや凹凸部の残存空気を排除して密着させる場合とに用いられる。ロールかけはヘラより均等に押圧することができるので、ヘラかけ後に改めてロールかけして凹凸をなくし密着させるために行うもので、接着剤の塗布の厚さむらを消去するために行うのではない。

接着効果が出はじめるのは溶剤の大部分が蒸発し、乾燥が完了した時からである。第1回目、第2回目塗布後の乾燥が適度でないと内部の溶剤は第3回目の塗布で発散しにくくなり、その部分の乾燥が遅くなり、ロールかけの効果が失われ、あるいは「浮き」ができて接着不良となる。

接着剤層は平滑であれは薄くてもよい。厚過ぎてゴムが緻密でない接着層は、剪断外力によって剥れ易いし、厚いほど前項の加硫ムラができて接着力の不均一を生ずるので、厚く塗るほど良いだろうという誤った考えを持ってはならない。

(卜) 接着面が大きい場合は傷口に適当な大きさのライナー(接着防止の布)をあて徐々にこれをずらしながら貼ってゆくと貼り易い。(図-4)

(チ) 補強布の場合も同様に行なう。

(リ) 糊付テープを使用する場合は一度溶剤拭きをしてから、糊を1回塗って貼りつける。

(ヌ) 完全に貼り合せが終ったところで全面に打粉をする。

(ル) 接着剤、溶剤、促進剤等には使用中、あるいは保管中に水分が含まれぬように注意すること。

(ヲ) 糊を乾かすとき息を吹きかけると湿気で糊面が白く濁ったようになる。つまりカプリ現象で、この状態で貼り合せても、接着力が激減するから必ず暖めて乾かすこと。

 

 

 

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