3. 修理作業基準
修理は、それぞれの製品について各メーカーの整備規程にもとづいて行うことになるが、修理の範囲は小規模なものに限られてかり、部品交換的な処理が多い。
従って整備規程を熟知するとともに、日頃各部の損傷傾向を把握し、必要部品や材料を常に準備しておくことが短期間に確実な修理作業を進める上で最も大切なことである。
点検、整備の結果、不備や不具合が発見されたいかだは次の基準により修理を行なわなければならない。
(1) 気室の修理
気室の修理はゴム布を接着剤(ゴム糊)で貼り合せる作業が主体で、貼り合せ後の気密性と耐圧性が重要である。
一般に接着作業で一番重要なことは被着体と接着剤が完全に密着していることで、両者の間に異物が介在しては完全な接着は望めない。新しいゴム布では表面に製造時の打粉(タルク)の層、古いゴム布では表面に老化層、または油、錆による劣化層等が介在して、密着を妨げているからこれらを紙ヤスリで削り落し、溶剤で拭いて除去する作業(前処理)の良否が修理の成果を左右する。気室への接着が不完全のため、格納中に接着部の一部がはがれ、規定の気密性能を維持できないものが時々SSで発見されている。一時的に接着しているようでも、時間が経過するに従って欠陥が出てくるようでは完全な修理とはいえない。修理手順は下記に従って行う。
(a) 先ず要修理部分を清拭する。
(b) 要修理部分の種類、範囲を確認する。
(c) いかだの経歴、損傷の状況から欠陥原因を推定し、修理範囲、修理方法を決定する。この判定は作業者に任せず、整備技術者自ら行なわねばならない。損傷原因の主なものは次の通りである。