(c) ねじ部の損傷や嵌合具合、蓋の破損、外装状態等を調べる。
(d) 作動ワイヤーの腐蝕、材質劣化、切れ等を点検する。特に先端の球体、他端のリンク状の各加工部分は入念に調べ、ワイヤーのビニール被覆が破損し、素線が破断、腐蝕しているもの又は疑わしいものは新換する。
(e) 各部品の点検が終えたらケーシング内部、回転部等には所定のグリースを軽く塗り、撃針、Oリング、バネ等を正しい位置にセットして再組立てを行う。
組立て後は、回転移動部の溝に作動ワイヤーを組込み、(a)項の点検を行ない、連動具合を確かめること。
(f) 最後に封印シールの標準抗力は3〜4kgであるが、シールの材質、シールの方法は各社により異なり、リン青銅線(0.2mm)、エナメル銅線(0.4mm)、合成樹脂製ピン等が用いられている。各メーカーの整備規程を参照して行うこと。
(g) 封印後の作動ワイヤーは、引張られて誤作動しないようループ状に巻くか、または仮縛しておくこと。
最後にもう一度、全体の組立に無理がないことを確認して、開口部は紙テープ等で塞ぎ、布に包んで異物の入らないようにしておく。
(h) (a)〜(d)の部品点検で異状があった場合は、交換の有無にかかわらずすべて記録しておき最後に再確認する。
(3) 連結金具(不還弁を含む)の点検
(a) 連結金具本体、ねじ部の破損、発錆、腐蝕の有無を調べる。袋ナットを指でまわして軽くまわらない時は、内部の故障と考えられるから交換する。
(b) いかだ側の金具とゴム座との焼付部を指先で傾けて引張り、焼付部の剥離、気重布とのはがれ等の有無を確かめる。
(c) 連緒金具がいかだ側から分離する構造の製品は、不還弁の変形、ヒビ割れ、切れ、硬化等を調べ、弁に柔軟性があり、金具側に密着することを確認する。密着がよくないものは弁抑えの小ねじを緩めて不還弁を外して点検する。
不還弁を取外した場合は、再組立てのとき小ねじを強く締め過ぎないよう締め具合に注意すること。
異状のない場合は、不還弁の汚れを清拭し、金具接着面に所定のシリコングリースを軽く塗布しておく。
(d) 不還弁の洩れ試験は、連絡金具をいかだに組込んだ後、大型コンプレッサーで油気、水分のない圧縮空気を連結金具から送入して気室を膨脹し、開口部に石けん水を塗り、その膨みにより弁の洩れをチェックする。
僅かの洩れは、弁抑えの小ねじを調整するか、弁ゴムにシリコングリースを塗布すると正常になることがあるが、洩れの甚しいものは交換すること。
(e) 連結金具がいかだ側と一体になっているものは、(a)、(b)および(d)の点検をする。不還弁からの洩れが僅かである場合は、開口部から丸棒で弁座を軽くつつき、弁座の不安定な状態を調整すると洩れが止まることがある。