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水洗いを必要としないいかだでも、表面が濡れている場合は上記の方法で乾かしてから作業を進めること。

乾燥の度合は、索類の取付座(内外周救命索、手掛け等)上、下主気室聞及び主気室、床気室間の乾燥状態を見て判断するとよい。

(d) 乾燥が不十分な状態で漏洩試験を行ってはならない。いかだの表面が濡れていると、試験中に水分が蒸発し、気室の表面温度が変化して気室内圧が不安定となり、試験の正確が期し得ない。

実ガス膨脹試験を行う場合は膨脹後水洗いを行う。

2-3 ガス充気装置の点検

ガス充気装置は、カット装置、連結金具(不還弁内蔵)、ガスボンベで構成されており、これらをいかだ側より取り外して、各部品に分解して点検する。

実ガス膨脹試験を行う場合は膨脹後、ガス充気装置の点検を行う。

ガス充気装置は各社とも構造が異なっているため、点検・整備の具体的内容はメーカーの「整備規程」に従う。

(1) ガス充気装置全体の取外し

(a) いかだ側の弁座に各社の専用スパナをかけて、弁座をねじらないように固定し、他のスパナで連絡金具の袋ナットのねじを緩めて、カット装置部を連結金具から分離する。

この場合ねじが緩んだ後は手回しして外すこと。

(b) ボンベサックをボンベから外し、ボンベロ金部にスパナをかけて固定し、他のスパナをカット装置部にかけてねじ部を緩め、ねじが緩んだら手回しして取外す。この場合、ボンベロ金部のボンベネジ込み部を絶対に緩めないこと。

(c) 連結金具(不還弁内蔵)は、いかだ側から取外しが出来る構造の製品と、弁座と一体化して取外しが出来ないものとがあるので、各社の整備規程にもとずき注意して行うこと。

いかだ側から取外しが出来るものは、いかだ側の弁座を手で抑えて固定し、連結金具の六角面取り部にスパナをかけ、弁座をねじらないようにねじ部を緩め、後は手回しで外す。

(d) ねじ嵌合部は、製品により時計方向と逆にまわす構造のものがあるので取外しや再組立ての時に注意すること。

(e) 分解した充気装置の各部品は、開口部を紙テープ等で塞ぎ、布に包んでおき、ねじ山を保護し、異物混入を防ぎ、注意深く取扱うこと。

(2) カット装置部の点検

(a) カット装置本体については、作動ワイヤーを引抜く時の撃針の出入具合、作動の円滑さを数回反復操作してみて異状の有無を確認する。

ボンベの封板を破る実際の作動力は、6〜15kgの静荷重が必要であるが、ボンベなしの空作動力は極めて軽いはずである。

(b) カット装置内部の点検は、専用工具を用いて、ケーシング、回転部、撃針等に分解し、各部品の発錆、腐蝕、ヒビの有無、変形及びバネ、Oリング等の破損、材質劣化等を調べる。

発錆の軽度なものは手入れをし、破損、劣化のものは新換する。

 

 

 

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