2. 整備作業基準
救命いかだの点検と整備は、運輸大臣によって認可された各メーカーの「整備規程」に従って行うわけであるが、以下に標準的な点検、整備作業の主要点を記すので、各メーカーの「整備規程」とあわせて整備作業の手引きとされたい。
2-1 整備作業の一般的注意事項
(1)本船での注意事項
(a) 建造中または受検中の船のいかだについては、工事日程、滞船日数等造船所側と密接な連絡をとり船の出航予定が狂わないよう整備日程計画を打合せること。
(b) 前回整備の際の諸書類を本船より受取ること。
(C)いかだコンテナーと共に自動離脱装置、ウイーク・リンクを必ず持ち帰ること。
(d) 本船への救命いかだの積付けが、最小航海喫水時及び満載喫水時で、どの位置になるかを本船備え付けの図面等で確認すること。
〔注〕索類の長さを決める時の資料とする。
(2) 整備場での注意事項
(a) 作業場に日光が直射する場合はカーテン等で遮蔽し、特に漏えい試験中は、室温を出来るだけ一定に保つこと。また冬期は室温0℃以下にならないよう暖房すること。
〔注〕ゴム布の取り扱い上、5℃以上であることが望ましい。
(b) 点検、整備作業は必ずチェックリストによりチェックしながら行うこと。
〔注〕作業の途中で他の作業者に作業を引き継ぐ場合には、チェック・リストを確実に渡し、整備個所が抜けることがないよう十分注意すること。
(c) 必ず定められた作業手順に従って行うこと。
(d) 治工具をポケット等に携帯したまま作業を行わないよう移動整理棚等を用意すること。
(e) いかだの種類の異なるものを同時に整備するときは、各いかだ毎に分解した部品の置場を明確にして、部品の取り付けちがいを起さないよう整理すること。
(f) 不合格品や手直しを必要とする品物と、良品の置き場所を明確にしておくこと。
2-2 外観点検
(1) 船上での点検
(a) 積付け現状
本船からいかだを取り外す作業をする前に、次に示す積付け現状を点検記録(チェックリスト又は絵に描くとよい)しておき、再積付け後に良好な積付け状態を維持し得るようにし、また改修を必要とする場合はその要請に対する参考資料として記録する。
(イ) いかだの型式品名、個数等の確認。
(口) コンテナの架台への積付け状態(かん合部の水平、開口、ズレ等)。
(ハ) 固縛ワイヤーの固縛状態及び変質劣化等の状態(ターンバックル、ワイヤーリング等の金具類も含む)。
(二) コンテナの封印状態。
(ホ) 自動索の取り付け状態及び暴露部の変質劣化等の状態。