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2)生活雑排水(domestic sewage)による汚染

(1) 厨房、し尿(excreta)による汚染

生活雑排水による水の汚染は、工場排水とは異なる特徴を持つ。炊事、洗濯、風呂からの排水、し尿には多くの有機質が含まれている。下水道が発達した地域では、下水処理施設で浄化され河川や湖沼に放流される。しかし、下水道の普及が遅れている地域では家庭からの生活雑排水は無処理のまま放流される。川の汚染の60%以上は家庭排水によると言われる。し尿のたれ流しは水源の汚染を深刻化させると共に、都市の中小河川の自浄(self purification)作用を極端に劣化させ、伝染病の原因になりかねない。川の有機物による汚染の指標となる生物化学的酸素消費量(biochemicaloxygen demand;BOD)は、家庭から出る総排水のBOD値の42%を厨房からの排水が占め、し尿26%、風呂の排水22%、洗濯10%となっている。

日本の家庭の1日に排出される汚水量のBOD負荷量は平均935mg/1(1973年)と報告されている。魚が住める川の水質はBODとして5mg/1であることから、家庭からの雑排水の処理に積極的に取り組まねばならない。

 

(2)リン・窒素(Phosphorus・nitrogen)と富栄養化(eutrophication)による水の汚染

生活排水中のリンや窒素化合物が湖沼や内湾へ流れ込み、それを栄養源としたプランクトンや原生動物(protozoa)が大量に発生し、水中にとけ込んでいた酸素を大量に消費した結果、酸素欠乏に陥り大量の魚介類が死滅する。これを富栄養化と言い、赤潮(red water)とか水の華(water bloom)ともよばれる。

湖水のリンの45%は生活排水によるもので、その他は、周辺の田畑からの肥料による。

一方、富栄養化は、微生物の増殖を促進し、2-メチルイソボルネオール(2-methylisobolneol)やジオスミン(diosumine)等のカビ臭原因物質を産生する。そのため飲料水として不適となる。このカビ臭の除去にオゾン処理と活性炭処理を組み合わせた高度浄水処理技術が導入されている。

リンや窒素化合物のたれ流しによる富栄養化を防止すべく、下水を処理する

 

 

 

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