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一方、供給された水はやがて排水として環境中に放流されることになるが、排水中に含有される物質の質と量いかんにより環境汚染(environmental pollution)ひいては健康影響が大きな問題となる。

 

1) 産業排水(industrial wastes)による汚染

工場から排出される水質は、産業の種類により様々である。大きく分ければ食品、紙パルプ、繊維関係の工場から有機質・フェノール・油脂の濃度の高い排水を出す業種、メッキ工場(electroplate works)、機械工場(machine works)、製鉄所(iron works)、金属精錬工場(metal refinery industry)からシアン・重金属(heavy metal)、有機溶剤(organic solvent)などの有害物質を排水する業種、酸、アルカリ性の強い排水を出す工場等がある。

 

(1)有機塩素化合物(organochlorine compound)による水の汚染

有機物に塩素(chlorine)ゃ臭素(bromine)が付いた化合物で、天然に存在せず、生体内で分解され難く、蓄積し易い。肝臓に毒性を示し、物質によってはDNAに作用し変異原性(mutagenicity)や発がん性(carcinogenicity)を示すものが多い。

トリクロロエチレン(trichloroethylene)は有機溶剤の中でも代表的な物質で、ドライクリーニングやメッキ工場、半導体工場等で金属洗浄剤として大量に世界中で広く使用されている。発癌性が疑われており、工場敷地内に捨てられると公共用水域に流出したり地下水に浸透していく。地下水を塩素消毒するとトリハロメタン(trihalomethane)へと変質し発がん物質(carcinogen)を発生する。

 

(2)重金属による水の汚染

重金属による汚染も重要な健康被害を発生する。日本の水俣病(Minamata disease)はその代表例であろう。工場排水中に含まれていた有機水銀(organic mercury)が食物運鎖(food chain)により魚介類で濃縮され、人体に入り中毒

 

 

 

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