める割合が高い。
このように発展途上国での乳児死亡率が高いのは、下痢、脱水、栄養失調に起因することが明らかであるが、これを受止める医療体制(medical service system)(医師数、病院数、ベッド数、医療費(medical expense))と安全な水を摂取することに対する教育が大きくかかわっている。近年簡易経口補水剤(oral rehydration treatment)が普及し始めているが、発展途上国全体に広まるにはまだ時間がかかるであろう。但し、この問題は乳児だけの問題でなく成人においても胃腸疾患が重大な健康影響をもたらしている。
妊産婦死亡率(maternal mortality ratio)は乳児死亡ほどの相関はないものの、安全な水が利用されることにより減少することが考えられている。水の使用率と女性の教育が正の相関を示すことは、衛生教育(health education)の必要性を如実に物語っているといえる。
水道網(aquaduct network)の発達は当然水の使用量や使用率の上昇に結びつき、疾病特に消化器系疾患(digestive disease)の減少に貢献するはずである。日本では水道網が発達し、水道普及率は全国平均で95%、東京では99%となっているのに対してベトナムでは安全な水の利用率が都市で65%、農村で43%。ラオスでは都市で57.1%、農村で6.4%とその格差が大きい。発展途上国では安全な水の送水技術、水道網の維持管理が適切になされなければならないが、水道管の破損と汚水の吸引によりかえって汚水の配水が起きているのが現状のようである。
2 工業による水質汚染
上水道は人口の集中化、都市化の結果として発達し、水の使用量の増加へとつながるが、飲料水(drinking water)の補給源となる河川、湖沼、地下水からの供給が豊富であることが要求される。都市での生活が満足できるのも、健康を保てるのも安全な水の供給があって成立し、産業の発展も安価で豊富な水が保証されなければならない。