の池田湖では平成6年度、湖内でプランクトンの異常増殖を見たが、その原因はいうまでもないく富栄養化をもたらす窒素成分の急増とされた。ところがその窒素成分急増の原因が池田湖の水を潅漑用に使用する周辺の大規模茶園地帯の窒素肥料の過剰使用にあるとされたのでる。そのため、広大な茶園地帯をドームで掩ってしまえ、それによって土壌成分の流出を幾分でも抑えよ、などといった大名論も出たほどだったと伝えられたが、ともかく茶園地帯一帯を流れる3つの河川の水を一旦池田湖に落し、その水を再度潅漑用にくみ上げて茶園用に使用するという計画は思わざる伏兵に出会ったともいうべき状態にある。3つの河川の1つはそのため、潅漑用利用という目的をとりやめ、そのまま海に直接水は流されているという。
しかし、これで問題が解決されたわけではない。河川、地下水の汚染問題は依然として地方に残されている筈だし、池田湖への導水を中断した河川の利用問題にしても、干ばつ時への対策としてはなお完全には無視し得ない関係にあるとされる。
さらに「茶の商品価値は甘みにあり、甘みのもとはアミノ酸で、アミノ酸を形つくる窒素が多く含まれている茶ほどおいしいとされ、これが過剰ともいえる化学肥料の投入に拍車を加える」とされる。
以上は、今身辺で入手できる断片的な情報に過ぎない。農業生産が多様化し、農業技術が高度化すればするほど、水の利用、使用に対するその需要の内容も多様化、複雑化し、それが逆に水の汎用可能性を制限し、その結果が一種の資源逼迫化の招来ともなると考えられるのである。以上すべて、資料は南日本新聞社特集「新しい食と農のかたち」(平成8年1月-9年4月)による。(1997.6.5)