2 同じく亜熱帯の島、沖縄県宮古島
平成3年、深さ20メートルの3カ所の井戸水などからスミチオンなどの農薬が検出された。スミチオンの濃度は水道水の安全基準には達していなかったものの、飲用水をすべてに地下水に頼っている当地だけに大騒ぎとなった。琉球石灰岩はサンゴ礁の隆起による、ザルみたいなもの。随所に孔があり、空隙率10%にも上るため、土中での分解の速い有機リン系農薬はそのまますんなり地下の最深層にまで達するとされる。このため飲用水源近くで持ち上ったゴルフ場建設計画に住民が一斉に反対運動に立ち上り、中止に追い込んだことはもちろんだが、さらに平成4年、新たな地下水汚染の「火だね」が持ち込まれることとなつた。
干ばつ対策として、地下水を農業用かんがいに利用する国内第1号の施設「地下ダム」が1部完成し、畑への部分通水が始まったからである。地下ダムは止水板を地下深く打ち込み、地下水の海への自然流出を喰い止めそこに地下水を貯える方式だが、くみ上げた地下水を農薬が散布された畑にまけば、汚染物質が地下水内で悪循環的に濃縮されることになるのではないかという不安からである。
幸いにこれまでの水質検査の結果では、その懸念は否定されているようだが、本質的に同一水源の繰り返し利用を本質としているだけに不安は消えないというところかも知れない。
3 これは過剰な化学肥料投与から来る地下水汚染の例、鹿児島県南薩地区、広大な茶の生産地帯の経験した例である
平成5年、農水省は地球環境貢献型農業検討委員会を設置、汚染への対策、改善の急がれる全国10カ所を選定、九州では池田湖周辺のこの南薩地区が選ばれた。そ