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のEC値は一般の土壌の10〜100倍に相当する。ナトリウム土壌は交換性陽イオンの15%以上をナトリウムイオンが占める土壌でESP(交換性ナトリウムの割合)で評価される。また、乾燥地農業では潅漑水の水質により塩類集積は加速される。潅漑水の判定には電気伝導度(EC)とナトリウム吸着比soduim adsorption ratio(SAR)を組み合わせた方法が用いられる。SARは各イオンの単位をmg当量/Lで表し、Na/√(Ca+Mg)/2により算出される。

塩類土壌(Saline soil)は塩類の大部分が塩化物、硫酸塩および硝酸塩であり、主要な陽イオンはカルシウム、マグネシウムおよびナトリウムであるが、ナトリウムイオンの存在割合は可溶性全陽イオンの50%を越えることはない。分類ではEC>4dS/m,ESP<15となっている。これらの土壌のpHは8.5以下であり、乾燥期には土壌表面に白色の皮膜または土壌中に塩類の集積が認められる。この土壌では塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の中性塩類濃度が増加し、植物根により利用される土壌溶波の浸透圧が植物根のそれ以上に高まり、植物による水分吸収を阻害する。さらに塩類の集積により土壌の萎凋係数が上昇し、土壌水分量が減少する。また、植物の養分吸収は毛根により行われ、共存する他の位のイオンの濃度と性質に支配される。このため植物の水分吸収に影響を与えないほどに弱い塩類土壌の場合でも土壌から必要とする養分の吸収に影響を及はす。

ナトリウム土壌(Sodic soil)の特徴はpHは8.5〜10示す塩類土壌より強いアルカリ土壌であり、土壌溶液中にカルシウム、マグネシウムをほんの僅かしか含まず、ほとんどがナトリウムイオンであるため、分類基準はEC<4dS/m,ESP15%である。土壌粘土はナトリウムイオンにより飽和されるため、分散性が高く、土壌腐植はアルカリ性の土壌溶液により溶解されている。さらに過剰のナトリウムは有機物までも高度に分散すると伴に、土壌粒子表面に分布し、土壌表面は黒色を示している。

ナトリウム土壌では先に述べた塩類土壌のような植物生育阻害を引き起こすとともに、高度に分散した粘土が土壌表面に集積し、土壌の耕転を困難にし、水の浸透性を低下させる。さらに分散した粘土が下層に移動集積するために非

 

 

 

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