あるが、アジアで3人のうち2人はまだ地方で生活していることである。
アメリカやヨーロッパでは地方から都市への人口の移動はすでに終わりつつあるが、アジアではこの傾向はますます進み、アジアの都市は今後さらに今までにない規模にまで膨れ上がり、インフラの要件、特に水供給、水処理、衛生の分野に莫大な負担がかかることが予想される4。
第3には、国際環境監視システム(GEMS)で入手可能なデータによると、アジアの河川の水質はすでに世界の他の地域よりも劣悪になっていることである(表2)。この大部分は「従来」の有機汚染物である。浮遊固形物は世界の水準の4倍で急速に増加しており、生物学的酸素要求量(BOD)は40%高く、糞便性大腸菌数は3倍になっている(中間値はWHOガイドラインの50倍)。(皮肉なことに人糞や動物糞を含んだ排出物や化学肥料に影響される硝酸塩レベルは世界の基準を下回っている。)都市地域はこのような汚染負荷が集中しており、その上に工業排水による重金属などの「近代的」汚染物が加わっている。これらの複合した要因に人口と経済の増加が起こっているため、アジアでは今後の水利用と関連する環境問題を懸念する十分な理由がある。
2 人口と環境
人口と環境破壊が関係していることは自明のことと思われる。トーマス・マルサスからローマ・クラブ、Georgescu-Roegenなどのエントリピー論者、ポール・エーリックとレスター・ブラウンにいたる予言者(「激変説論者」と呼ばれる)たちはみな、世界の人口を安定、あるいは減少させない場合は、災害が起こることになると警告している。ジュリアン・サイモン、ヘルマン・カーンらの「コーヌコピアン」や多くの経済学者たちは人口の規模および増加と環境の状態の間に直接の関係があるという証拠は少なくとも今までにはほとんどないことを指摘していた5。
その代わりに、不完全な財産権、誤った補助金の支出と貧困を環境劣化の決定的な変数として指摘している6。
一部の環境問題、特に水に関連する問題の多くは、経済発展にともなって減少傾向