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(2) 波浪中におけるスラスト増加

波浪中の推進性能を議論する場合の最も重要な量は、波浪中におけるスラスト増加量である。このため、波浪中の試験に先立って、平水中の自航試験を行い、波浪中におけるスラスト増加分の計算の基準となる平水中のデータを求めた。なお、今回の実験では摩擦抵抗分の抵抗補正は行わず、model point における計測を行っているが、平水中の自航試験についても同じく model point における試験を行った。波浪中における抵抗増加が船体運動に起因する新たな造波抵抗成分であり、波浪中における摩擦抵抗が平均的に平水中におけるもので近似できると考えると、model point におけるスラストの増加分をもって波浪中のスラスト増加量と考えて差し支えない。

波浪中のスラスト増加は、一般に、次のようなスラスト増加係数τにより評価される。図 3.3.22に波浪中における水槽実験結果をまとめる。

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ここに、ΔT、ρ、g、ζA、B及びLは、それぞれ波浪中でのスラスト増加量、水の密度、重力加速度、半波高、船幅及び船長である。また、図3.3.23にこれに対応するストリップ法による計算結果を示す。

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