NSRを利用した場合、氷況の緩やかな7月から10月にかけてはSuez経由の場合と同程度の航海日数(約21日)となるが、氷況の厳しい11月から6月では航海日数はSuez経由を大きく上回ることになる。
(2)バルク貨物
図3.2.1、3.2.2に示すように、バルク貨物はコンテナ貨物についで物流増大の可能性が高いと予想される貨物種である。バルク貨物についてもコンテナ貨物と同様の検討を行った。現在、就航しているバルクキャリヤーの多くは、航海速力が14〜16 knotsとなっている(図3.2.3)。 Suez運河経由で横浜-ハンブルク間(約12,000 NM)を直行する場合には約5週間で航海することになる。NSR経由の場合には、氷海中での速力をコンテナと同様に表3.2.1によって仮定した。開水中の速力が14、15、16 knotsのそれぞれの場合について、NSR経由Hamburg〜横浜間の平均航海日数を表3.2.3のように概算した。
バルクキャリヤの7月から12月の間の航海日数は、Suez経由に比べて1週間から2週間短縮され、氷況の厳しい1月から6月の間でもSuez経由と同程度もしくは1週間程度の遅れとなる。航海日数に関しては、通年で見ても航海距離短縮によるメリットが現れている。