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5.6 地球温暖化による海洋環境への影響

 

(1) 問題点と研究課題領域

温暖化の予想される影響のうち、最も懸念されているもののひとつが、海面上昇である。温暖化のメカニズムやその影響についての科学者のコンセンサスが得られているとは言いきれない。しかし、世界中の科学者の知見が集結された IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第二次レポート(1995年12月)の中位の予測として、2100年には 約 2℃ の平均気温上昇と 約50cm の海面上昇が示されている。現実に世界的なエネルギー消費は増大傾向にあり、主要な温室効果ガスである CO2の排出は増加するため、温暖化に伴う海面上昇の進行は現状では避けがたい状況にある。

温暖化に伴う海面上昇に関する研究には4つのレベルがあると考えられている(図 5-16)。

? 気候温暖化に伴う海面上昇(一次影響)を研究する

? 海面上昇によって生じる影響(二次影響)を研究・評価する

? 気候温暖化や海面上昇が途上国に与える影響を研究する

? 影響評価を基に、対応策を検討する

?〜?は、研究目的も研究内容も大きく異なっており、研究を進められる研究機関も異なると考えられている。?の領域を研究対象とするならば、研究機関は、大学や政府系研究機関となるであろうし、?はむしろ建設会社や、設計会社、コンサルタントが推進すべき領域と考えられる。

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