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するなど、1975年のロンドン条約発効以来の抜本的対策が講じられている。このため、海洋へのゴミの排出量自体は減少してきていると言われている。

広範囲におよぶ浮遊ゴミの目視調査および浮遊シミュレーションについては、10年ほど前に水産庁、ニッカツレンが行ったとされるが、報告書は非公開であり詳細を知ることはできない。

 

(3) 対策

ゴミに関しては

・ゴミを出さない

・出したゴミを回収する

のが基本である(図5-15)。ゴミが海の中に入ってしまうと回収は困難になる。海底に沈んだゴミは底ざらいするしかなく、ゴミを回収しようとすると魚も引っかかってしまうことになる。

海岸に打ち上げられたゴミの回収や、海岸の清掃運動は、水産庁の関連団体が運動として行っている。このような運動は、全国の色々な場所で行われている。また、沿岸や内湾に流れた浮遊ゴミは、各県が独自に回収を行っており、水産庁からも費用の半額の補助金が支給されている。回収の場所、方法は県独自によって決められており手法も異なっている。鹿児島では、軽石の浮遊がゴミとして集積・回収されている。

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(4) 今後の課題

海洋汚染物質、ゴミに関する調査研究は、今後も継続していく必要がある。浮遊ゴミの分布状態を目視で調査、記録するだけではなく、物質の流れや循環についても研究が求められる。実際に、汚染物質やゴミが沖合いに流され、流れに乗って循環しているうちに沈んでいくところは、完全にはまだ解明されてはいない。また、ゴミの投棄に関しては、観光客、釣り人、海水浴客のマナーが問題であり、それ以外にも、漁具や漁網が捨てられ、魚が引っかかって死ぬという悪影響もある。これらの問題に対する調査研究、および、ゴミの回収・清掃事業の継続が必要である。さらに、護岸工事によって干潟が減少しており、浄化能力が落ちている問題へも取り組みが必要である。湾、海域などそれぞれの場所の環境修復を創造して再生化が目的である。湾や海域には多くの事業があるので、それらを効率的かつ効果的に組合せることによって環境修復を図っていくことになろう。

 

 

 

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