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B=F/(Jd)=50.5/(213.6×0.127)=1.86 (T)

すなわち、ソレノイドコイルを用いたヘリカルタイプのスラスターの場合、ダイポールコイルを用いたスラスターに比べて約40%の磁場しか有効に使われていないことになる。

次に、電極への投入電力について比較する。ダイポールマグネットを用いた場合の電極電圧は次式で表される。

E={J/(σbl)+UB}d≒J/(σbl)×d

ここに、σ:導電率、b:電極幅、l:電極長さ、U:流速

この式より、電極電圧は

E=213.6/(4.5×0.132×0.35)×0.127=130 (V)

したがって、投入電力は

P=JV=213.6×130=27.8×103(W)

となる。

ヘリカルタイプの投入電力は6.0kWであるから、ダイポールコイルを用いた場合に比べて約22%に相当する。これは、ヘリカルタイプの場合、電極面積が大きくなり、かつ電極間隔が短くなるため、電極電圧が小さくなることによる。

ヘリカルによる流体損失がどの程度になるか不明であるが、スラスターの効率が上がることが期待できる。

なお、このスラスターは98年春にクローズド・ループの試験装置に組み込んで性能試験が行われ、その後、全長3.3m、幅0.8mの模型船に搭載され、水槽で航走試験が行われる予定とのことである。

 

4. 加速器

米国における世界最大の超電導陽子―陽子衝突型加速器SSC(Superconducting Super Collidor)計画が中止になって、加速器関係の活動の中心はスイスに本拠地を置く欧州共同原子核研究所CERN(Conseil European pour la Recherche Nucleaire : European Organization for Nuclear Research)のLHC(Large Hadron Collidor)計画に移っており、本会議でもこれに関連する多数の論文がオーラルおよびポスターセッションで発表された。

加速器への超電導の応用としては、粒子の偏向用のダイポール(2極)マグネット、収束用のクオドロポール(4極)マグネットおよび素粒子検出用の大型薄肉ソレノイドマグネットがある。

特に、粒子の軌道半径は磁場の強さに反比例するため、施設の規模を小さくするためには、磁場強度の高いダイポールマグネットが要求される。このためNb3Snを用いる方法とNbTiを超流動状態で使用する方法が検討され、信頼性やコストなどの面から後者が採用されている。

 

 

 

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