3. MHDスラスター関係
中国科学院電工研究所では、1996年〜98年の3ヶ年計画でヘリカルタイプのMHDスラスターの開発を行っている。その前段階としてダイポールマグネットを用いたMHDスラスターの性能試験が行われている。
(1) 4T-ダイポールマグネットを用いたMHDスラスターの性能試験
Y. Peng et al.: "Experimental Studies for a Linear-type MHD Seawater Thruster with a Dipole Superconducting Magnet in a Test Facility"
ダイポールマグネットに電極を組み込んだMHDスラスターをクローズドのテスト・ループに設置して、スラスターの性能試験を実施している。
スラスターの主要諸元は次の通りである。
試験方法は、「ヤマト-1」の開発初期に筑波研究所で実施した方法とほぼ同じである。
試験結果によると、作動部の圧力計測から推定した電磁力はほぼ電極電流に比例しており、電極電流110Aのときの計測値を図から読み取ると次の表のようになる。
磁場と電流が均一に分布し、かつ直交する場合の電磁力の式
F=JBd J: 電極電流(T)、B: 磁場(T)、d: 電極間隔(mm)
から計算した値と比較すると、80数%と若干低いが、計算で無視しているダクトの損失や電極電流の回り込み等の影響を考えるとほぼ理論通りの値が得られている。